サンゴの島に少女の記憶を探してワラビー(前編)


元気出して、うるま市 編

 薄曇りの初夏の某日。うるま市内のスーパー、サンエー「与勝(よかつ)シティ」―。

  その駐車場にたたずむ、ワラビーの姿があった。「みぎ…した…ひだり…」

 

 「1.0…ハッ!?完ぺきです!」

 「まぶたが4分の1下がっていても、目ヂカラはバッチリです!

 

 「ワラビーお待たせ」歩いてきたのは沖縄タイムス編集局学芸部記者で、ワラビー担当いきものがかり・榮門琴音(えいもん・ことね)。「何してんの」

 「あっ、ことねせんぱい!…ワラビーは目ヂカラをきたえているよ!」

 「目ヂカラ?…ああ、視力検査ね」

 「目ヂカラがあると、きっとスイーツのほどこしを受けやすくなります…」

 「さもしいな。上目づかいの子犬じゃないんだから」

 「ところでことねせんぱい、ここはどこ?」

 「ここは私の地元、うるま市。我ら自慢のアミューズメントパーク、与勝シティだよ!」 大きく出たな。

 「アミューズメント…楽しそうなひびきです!」

 「沖縄本島の太平洋側、勝連半島の付け根部分に位置していて、半島から出る人、半島へ帰る人がつい立ち寄りたくなる、吸引力のあるスポットだよ」

 「きゅう引力…ダイソンシティです!」

 「与勝だってば」

 「朝からおじいさんやおばあさんがいっぱい入っていきました」

 「テナントのドラッグストアやメガネ店が、シニアにとってのアミューズメントってわけなの」 そんなわけあるか。

 「じゃあ、じゃあ、ワラビーがさっきやった目ヂカラトレーニングも…」

 「当然アミューズメント」 さらりと言い放つ榮門。

 「ダイソンシティはごらくの、でん堂です!」 喜ぶ有袋類。

 「…ていうか、いつまでも駐車場にいてもしょうがないし。今日は私の地元を好きになってもらおうかな。うるま市を案内するよワラビー!」

 「かん光するの?」

 「そうだよ」

 「やった!おのぼりさんです!いや、ワラビーは大と会・なはから来たので…おくだりさんです!」 色んな意味で上からか

 「そのへんどうでもいいけど。ほら行くよワラビー!」

 「ことねせんぱい、グルメもある?」

 「あるよ。うるま市グルメの最高傑作との呼び名が高い、丸一食品のいなりとチキンを食べさせてあげる」

丸一食品のいなりとチキン

 「いなりとチキン…うまそうです!あ、でも、まだ右目の目ヂカラをきたえていない…」 再び視力検査を始めようとする有袋類。

 「何してんの。早く!」

 「…わかりました!」

 

 ―そんなこんなで、ワラビーと榮門がやって来たのは世界遺産の勝連城跡

 

 13世紀前後に築かれたとされる勝連城は、15世紀に琉球王国に抵抗した按司(あじ・地域の長)、阿麻和利(あまわり)の居城として有名。標高約100メートルの丘の上に地形を生かして造られていて、北の金武湾、南の中城湾の景色を一望できる景勝地でもある。

 

海中道路も一望できる

 肝高(きむたか=英雄)と称された阿麻和利の治世は海外との中継貿易で栄えた。そんな背景もあってか、2016年9月にはローマのコインが出土したニュースで県内外を騒がせた、ロマンが眠る城なのだ。

 

 「ホホウ…フムフム…」

 「…グスク(城)の説めいが、書いてあります!くわしくはブログで、きろくがかりのせんぱいが書くはずです!」 お前ずるいな。

 「ワラビーえらいね、勉強してるんだ」

 「ハッ!…だれですか?」

 「…榮門だけど」 耐UV完全防備を整えた榮門だった。

 「ことねせんぱい?分からなかった…ハッ!まさかこれが…しん気ろう!?」

 「蜃気楼じゃないよワラビー」

 「グスクの中には夏草も生えている…つわものどもが、朝めし前です!」

 「何を楽観視したのか分かんないけど、『夢のあと』ねワラビー」呆れる榮門。「でも懐かしいな」

 「何がですか…」

 榮門がゆるゆると思い出話を始めた。「母校の中学が近くて、よくバスケ部の校外ランニングでここまで登ってきたの。ある日の夕練の時、天からロープが垂れてて

 「どういうこと…?」

 「そのまんまだよ。天からこの広場にロープが垂れてて。つかもうとしてもつかめなくって」

 「それは、しん気ろうです!」

 「違う違う。私だけじゃなく、部員みんな見てて。いまだに『あれは何だったんだろう』って話すもん」

 「ふしぎです!」

 「ふしぎだよね」

 「でもことねせんぱいが、ロープをつかめなくてよかったです!」

 「何で」

 「きっとそのままどこかへ引っぱられて、いきものがかりとして、ワラビーとも会えなかったにちがいない…」

 「怖いこと言わないでよ」

 「とにかく、ぶじでよかったです!」

 「…ほんとうだね」 …なにこの奇跡体験(実話)

 

 懐かしい場所に来たことで記憶が刺激されたのか、榮門が再び思い出話を始めた。「そういえば、あれ、どうなったんだろう…」

 「あれって?」

 「タイムカプセル?…そう、私だけのタイムカプセルをどこかに隠したんだった」

 「ことねせんぱい、タイムカプセルって何?」

 「過去の自分から将来の自分へ手紙を書くんだよ。例えば今のワラビーが10年後、20年後のワラビーへ手紙を送るの。元気ですか、今どんな仕事してますか、やりたい事、やれてますかーって」

 「きっと食べる、寝る、あそぶです!」 出たな安定の「ダメるるぶ」。「でも、ゆう便局の人は、できるだけ早く届けるお仕事なのに?」

 「ああ。本当のお手紙じゃなくって、箱に入れて校庭に埋めたりして、長い間保管しておくのね。10年後に開けた時は書いた内容も忘れていたりするから、懐かしがったり、過去の自分に励まされたりするわけ」

 「ことねせんぱいのタイムカプセルもあるの?」

 「そう。小学校低学年の時に将来の夢を書いて、それこそガチャガチャのカプセルに入れて…入れたはずなのに開けた記憶がない。どこに隠したんだろう」

 「おうちのどこか?」

 「ううん。当時から好きな場所、この勝連半島のどこかに隠したのは確か

 「広すぎます!」驚くワラビー。「…でも、タイムカプセルを探します!」

 「え、いいよワラビー。何書いたかも忘れたし。そもそも見つからないし」

 「でも、タイムカプセルがことねせんぱいをはげますなら、フェレットはあります!」

 「なぜ急にイタチの話?…メリットのこと?」

 「それです!」

 

 雄大な勝連城跡の眺望を前に、気が大きくなってしまった有袋類。榮門が勝連半島のどこかに隠したというタイムカプセルは見つかるのか?

  「見つけます…でも、いなりとチキンも忘れません!」

 

 

 

 いきものがかりの地元・うるま市の魅力満載の「サンゴの島に少女の記憶を探してワラビー(後編)」は5月6日(土)に更新予定です。お楽しみに!


  1. どすこ~い より:

    久しぶりのワラビー✨
    ワラビーは、お出かけしている姿が楽しそうでイイですね✨

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