ネコノミックアニマルと呼ばれてワラビー


 岩合光昭写真展「ねこ」 編

 沖縄タイムス創刊70周年プレ企画、岩合光昭写真展「ねこ」(主催・沖縄タイムス社、共催・浦添市教育委員会)が浦添市美術館で開かれている。

 動物写真家の岩合さんが40年以上かけて撮影したネコのベスト写真181点が展示され、かわいい表情、ユーモラスな表情がほほ笑みを誘う。沖縄初開催で9月3日まで。

 

 夏休み期間中ということもあり、多くのネコファンや動物好きが訪れ、すでに来場1万人を突破。写真に見入ったり、持ち込み写真専用ボードに自慢のネコ写真を貼り付けたりと楽しんでいる。

 

 2010年代に入り広がりを見せるネコブーム。ネコの写真集やグッズ、テレビ番組の盛り上がりに加え、国内各地の「猫島」が観光客を集めるなど経済効果は2兆円以上とされ、「ネコノミクス」という造語も生まれた。

 そしてここに、ネコノミクスの恩恵に預かりたい動物がいた―。

 

 那覇市の街角に、愛らしいネコに会いに行く―。

 7月某日。那覇市久茂地のタイムスビルのそばには、今日も今日とてヒマをもてあましている「いつだってすき間時間」沖縄タイムスのマスコット・ワラビーの姿があった。

 「こんにちは、ニャンだよニャーン!」 人の気持ちをざわつかせる有袋類。

 「きょうはワラビーがすむ大とかい・なはでネコを探すニャン!」

 (軽やかな笛の音が流れる)

 ワラビーの(半径20メートル程度の)世界ネコ歩き

 「車が多くって、日本一渋たいがひどいまち、なは…大とかいが光だとすれば、渋たいはそのかげですニャン!」 さっきから何そのしゃべり。

 ワラビーが言っているのは本当で、国の2012年度調査によると、那覇市の渋滞時の移動速度は時速16.9キロ。東京23区(時速19.3キロ)を超えて全国ワーストなのだ。

 きょろきょろしながら歩くワラビー。「ネコがいないで…いないニャン!」 「ニャン」忘れただろ。

 「こっちの方がにぎやかです!……ニャン!」 不慣れか

 折しもタイムスビル1階ではオリオンビール社の創立60周年イベント「オリオンアニバーサリーホール」が開かれていた。

 「ネコネコ…ハア、ハア、あつい…見つからない…」この日の市内の気温は34度。「ネコが見つからなければ、もうイヌでもいいニャン!ネコかイヌ、ネコかイヌ…」

 

 「ワラビーだ!何してるの?」ビルの前で遊んでいた子どもたちが話しかけてきた。

 「ネコかイヌかハトかセミを探しているニャン!」 だいぶハードルを下げた有袋類。

 「ネコちゃん?こんな暑いんだし、きっと涼しいとこにいるんじゃない?」

 「それもそうです!ハア、ハア…きっとネコたちは、ジャスコかサンエーに行ったにちがいニャい…ネコさがしは終わろう…」

       ~ワラビーの(半径20メートル程度の)世界ネコ歩き・終わり~

 

 屋内へ戻った有袋類。

 「すずしい!」そこで、鼻をクンクン鳴らした。「これは…ネコ?ネコのにおいが強いけど、ほかにも、いろんな動ぶつのにおいがする…上の方からです!」

 ワラビーはエスカレーターで上階を目ざした。

 

 ―そのころ、タイムスビル10階の会議室では、ネコの魅力を熱っぽく語る男性がいた。

 「ネコは人と人を結びつける、すばらしい存在だなあ、と思うんですよ」

 

 ネコを訪ねて三千里オーバー ネコノミクスを引っ張る動物写真家 岩合光昭

 

 この日は沖縄タイムスのこども新聞「ワラビー」の企画で、岩合さんと浦添工業高校写真部の3人が写真について語り合ったのだ。

 左から浦添莉乃さん、石橋未奈子さん、比嘉夏子さん。

 3人は北海道を舞台に写真の腕を競う全国高校写真選手権大会「写真甲子園2017」への出場も控えた忙しい時期だったが、「岩合さんに会える!」とこころよく企画に乗ってくれたという。

 いい写真を撮るためにはひたすら待ち続けるという岩合さん。「ピザ屋さんの前にネコが来るのを6時間待っていた」

 「すごい!」「きつくないんですか」

 「人は基本的に待つことがいやだから。『待っている』という意識を持たず、いろんな所を見ていると待っているという感覚はなくなりますね」

 NHKBSプレミアムの番組「世界ネコ歩き」で、ネコとの遭遇率が尋常でない動物写真家は、ネコの探し方も教えてくれた。

 「車通りが少ない場所。島なんかに行くと道が狭いので人や馬車に邪魔されない塀の上を歩いて、塀から塀へ飛んでいる。塀はネコの道と言えるかもしれないですね」

 「ネコは高い所が好きなので坂道の上とかにいますね。行き止まりとかそういう所にたまっていたりする。大きな音も好きじゃないんですよ。ゆっくりした動きや声の調子がいいんでしょうね。おじいちゃんやおばあちゃんのそばにいることもすごく多いです」

 ネコを見つけたら、まずは周囲に人がいないか確認する。「おたくのネコを撮りたいんです、とお願いします」。子ネコの場合は母ネコを探すという。「お母さん、写真撮らせてねとお願いしたら『ミャア』と鳴いてくれるんですね。そんなふうに『撮影許可』をもらっています」 ネコへの優しい目線が伝わるエピソードを披露してくれた。

 

 さらに、3人が撮ったネコの写真を寸評してもらった。

 「かわいいからって、ネコだけ写してはいけない。ネコの暮らし方や生き方、人間との関係が分かる写真がいいですね。あとはぱっと見て、何が写っているのか分かった方がいい。コンテストで審査する時に、たくさんの写真の中で目が行くような作品がいいですね」

 その中で岩合さんが気に入ったのは、石橋さんのこの作品。市場の肉屋の店先で、ネコが立って肉をねだっている写真だ。

石橋未奈子さんの作品 肉をねだるネコ

 岩合さんは「沖縄の空気感が出てていいねえ。沖縄は『ネコの国』なんだね。すばらしいねえ」と絶賛していた。

 

 高校生から質問が出た。「ネコを撮るとき、ネコに話しかけますか?」

 「男前だね、とか美人だね、とかほめてあげます。優しい声の調子で話しかけると…」

 

 「ワラビーもほめて!」そこで有袋類が乱入した。

 「え、君はだれ」戸惑う岩合さん。

 「ワラビーだよ!沖なわタイムスのマスコットで、有たい類です!」

 「ワラビーかあ。オーストラリアのやつにはあまり似てないね」

 「おじさんからはネコのにおいもするし、いろんな動ぶつのにおいがします!動ぶつはきっと、おじさんが好きだよ!」

 「そう、いい子だねえワラビーは…」 「いい子だねえ」頂きました

 

 バシャバシャ。バシャバシャバシャ。一斉に響くシャッター音。高校生たちのレンズがすべてワラビーに向けられている。

 「ワラビーだ!」「目が大きい!」「顔も!」

 写真甲子園に出るレベルの高校生写真部員は、動物が現れるとついついシャッタ―を切らずにはいられないのだ。にわかにフォトジェニック化する有袋類。

 「…ハッ!めちゃくちゃ撮られています!『♯ワラビーとデートなう』に使っていいよ!」 何言ってんだ。

 

 「おじさんはここで、何をやっているの?」

 「ぼくは動物写真家で、今は高校生が撮ったネコの写真を見せてもらっていたんだよ」

 「写しん家!じゃあ、じゃあ、ワラビーをかわいく撮るにはどうしたらいいですか…?」 出たなナルシスティック・アニマル。

 「そうだな」有袋類に付き合ってくれる岩合さん。「こういうキャラクターって、みんな顔を見てしまいがちなんだけど、ワラビーはしっぽも足もいい感じだし、全身を撮るようにしたらいいんじゃないかな」 

 「ウフフ…もっと言ってください!」 喜ぶ有袋類。動物をほめ始めたら悪魔的な才能を発揮する岩合さんである。

 「でもいろんなまちでゆるキャラを見てきたけど、ワラビーが一番かわいいね」 

 「ホントですか!次は写しん展『わら』をやるべきにちがいない…」

 炎上しそうな名前だな

 

 バシャバシャバシャ。バシャバシャ。その間もシャッター音は止まらない。

 「ワラビーが照れた!」「照れてるね」「照れるんだ」

 

 

 さらに岩合さんはひとこと。「ぼくは顔の大きいネコが好きですしね」

 「かおが大きい!ショックです!」 へこむ有袋類。

 

 バシャバシャ。バシャバシャバシャ。バシャバシャバシャ。

 「今度は落ち込んだ!」「落ち込んだね!」「まあ大きいし」「個性だよね」「気にしてるんだ」

 なんか増えてるー!!

 

 …今回は若い才能に撮られまくったワラビー。動物写真の魅力を教えてくれた岩合さんに、いつか被写体として選んでもらえるよう、精進を重ねてほしいと願うワラビーブログスタッフだった―。

 「写真展『ねこ』は9月3日まで。みんなで見に来てね!待ってます!

 

 

 

 ~ワラビーよりお祝い~

 今回ブログに出演してくれた浦添工業高校写真部の3人は、7月25~28日の写真甲子園で3位相当の優秀賞5校に入りました!町民が選ぶ特別賞3校のうちの1校にも選ばれ、ダブル受賞となりました!おめでとうございます!

 これからもすてきな感性を磨いていってね!応援してます!


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