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地域に根差し、調和することの大切さ・島嶼音楽季開催によせて(島嶼音楽季・日本窓口:伊禮武志)


 国境を越え交流し、ともに一つの曲をつくりあげる

 台湾の東、「花蓮」と「台東」は、ゆたかな自然に恵まれた美しい場所だ。そこに住む人々の暮らしは、土を耕し、野菜や米を作り、海に出て魚を捕る、昔ながらの自然と調和した生活だ。ゆとりをつくり、身近な素材を使って芸術作品を創作する。地域に根ざし、自然と調和する事を大事にする人々が創り上げる作品には力がある。
歌も同様だ。口承で伝えられるものが多い。集落に伝わる歌の節を、自作の楽曲に取り入れる音楽家も少なくない。花蓮・台東から生み出された作品は、自然との調和がいかに大切かということを教えてくれる。

 6月19日か26日まで、県内4カ所で、花蓮・台東の音楽家、芸術家を沖縄に紹介するイベント「島嶼音樂季(とうしょおんがくさい)」が開催される。

 美術展・ライブ・講演・映画上映・台湾原住民の手工芸や衣装にふれることを通じて、台湾東部の文化の魅力を発信する取り組みだ。沖縄本島で台湾アーティストが生活体験し、音楽家らが国境を越え交流し、ともにひとつの曲を作創りあげる。

阿修Nawan=プユマ族

・東冬侯溫/兒路創作藝術工寮(台湾)

 

映画通じ、台湾原住民の土地喪失に対する問題を提起

 このイベントには、2人の若い映画監督も参加する。家族と故郷の再生を描いた物語「太陽的孩子(太陽の子)」は、2015年に台湾で公開され、感動を呼んだ。監督の一人、Lekal Sumi(レカル・スミ)は父が台南人で、母がアミ族だ。彼は台南で育った。兵役を終えた後、母の故郷、花蓮市の港口部落に移り住んだレカルは、アミ族の文化と伝統に触れ、自分のルーツの一部を取り戻そうとした。11年、母の舒米(スミ)が所有する荒れ果てた畑を耕し、豊かな土地を取り戻しました。当時レカルは、映像制作の経験がまったくなかったが、20年間放置された土地を開墾する過程を、2年の歳月をかけて撮影した。その後、個人で初の記録映画「海稻米の願望」を完成させた。これを機に、映像の道に進んだレカルは、15年、鄭有傑(ジェン ヨウジィェ)監督と共に「太陽の子」を完成させた。台湾原住民の土地喪失に対する問題提起を映画製作を通じて発信し続けているクリエーターだ。

Lekal Sumi(レカル・スミ)

鄭有傑(ジェン ヨウジィェ)

 

 実話をもとに製作されたフィクション「太陽的孩子(太陽の子)」は、伝統の米『海稲米』の復活に賭ける村の人たちの物語だ。舞台は、アミ族が暮らす集落。美しい海岸線に広がる小さな村に突如持ち上がったホテル建設計画。
先祖伝来の土地が失われる危機の中、村人たちは「開発か、伝統か」の間で大人も子供も悩みながら、失われかけた『絆』を取り戻していく。

 

 

 

 

 主題歌を歌う、Suming舒米恩(スミン)も、先住民族の民謡や踊り、手工芸、などの文化保護をするため、部落の子供たちに向けての活動を実践している。

 沖縄と台湾が、文化を通じて互いを理解しあうこと。次世代まで自然が豊富で平和な世界を作ること。このイベントには、芸術家やスタッフたちのそんな想いがつまっている。この機会に是非、足をお運びください。

島嶼音樂季・日本窓口:伊禮 武志(有限会社・你好我好、沖縄県出身、台北在)

 

特別企画 島嶼上映会 ~太陽的孩子~(太陽の子) 

6月23日(金)慰霊の日 午後4時半~午後6時半 ※午後7時~音楽ライブ

読谷村文化センター鳳ホールにて上映

 

 アミ族の伝統的な稲作方法で作られる米「海稲米」の復活という実話をベースに作成されたフィクション。2014年春から2015年夏までの台湾東部を舞台がとなります。ディベロッパーによる観光地の開発計画と、それによって失われてしまう村の姿。自分たちの理想の未来を模索して苦悩するアミ族の各世代の村人の姿が描かれています。

 映画に登場する風景や、年配の原住民の姿は、どこかうちなーんちゅと似ていて、懐かしさを感じさせます。

 日本語字幕付きの上映となります。(吹き替えではございません)。

 上映後、鄭有傑 監督、Lekal.Sumi監督、そして、主演をつとめる女優 阿洛の舞台挨拶があります。

 映画上映後の音楽ライブと合わせて、前売り1,400円、当日1,490円となっています。

予告編はこちら

 

 

 

上映会に関する問い合わせ
チケットのお求めは

沖縄タイムス社文化事業局 
☎098-860-3588

rhythm@okinawatimes.co.jp

 

 島嶼音樂季コンサート

6月23日(金)慰霊の日 午後7時~音楽ライブ 

読谷村文化センター鳳ホールにて上映

※午後4時半~午後6時半は映画上映会 

 

 読谷村は、戦後途絶えていた伝統的な織物『花織』の復興や、焼き物の里などの民芸拠点の設置に取り組む中、歌・三線の始祖と呼ばれる『赤犬子』も大切にされている文化、芸能が盛んな地域です。年に一度開催される『読谷祭りで』、台湾から音楽家や武術家を招くなど、積極的な国際交流が行われています。

 台湾東部も同様に、それぞれの自治体が生活のレベルから文化を復興することに力を入れています。国際社会と文化を通したネットワークを作るために、島嶼音樂季が台湾で企画され、読谷村との交流を継続しています。
 昨年は、村出身の音楽家、知花竜海・ひがあゆみ・渡慶次青年会が台湾東部を訪れ、曲づくりを通じ、現地アーティストとの関係を深めました。

昨年の台湾での音楽交流の様子はこちらから

 武術においても、沖縄小林流妙武舘 読谷道場は、南宗少林俗派 第八代掌門人の、呂 松吉先生や、北少林青島武館 林昌湘先生との交流を深めています。

 今回、来沖した台湾の音楽家は原住民です。その土地で生活し、生まれた歌を継承し、自分の音楽スタイルに変え、世界各地に羽ばたこうとしています。
 台湾原住民との貴重な交流イベントです。地域の方々、特に小さなお子様がたに異文化を体験していただきたいと考えています。

出演
・ひがあゆみ(沖縄)・知花竜海(沖縄)・當山貴史(沖縄)
・KACHIMBA 4(沖縄)・舒米恩 SUMING(台湾)
・東冬侯溫/兒路創作藝術工寮(台湾)
・郭明龍(台湾)・LAWA(台湾)・Nawan 阿修(台湾)
・沖縄小林流妙武舘 読谷道場 ・読谷村渡慶次青年会

 

 映画上映後の音楽ライブと合わせて、前売り1,400円、当日1,490円となっています。

コンサートに関する問い合わせ
チケットのお求めは

沖縄タイムス社文化事業局 
☎098-860-3588

rhythm@okinawatimes.co.jp

共 催 読谷村 / 沖縄タイムス嘉手納・読谷販売店会 
協力:台湾観光局/台湾観光協会大阪事務所

URL http://www.hot-islandsmusic.com


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