プロローグ 消えたワラビー(前編)
プロローグ 消えたワラビー(前編)
10階会議室。経営企画室が主導し、部局横断的に社員を集めた会議が開かれていた。
経企室長の銘苅達夫がおもむろに口を開く。
「若い世代の新聞に対する認知度、親しみやすさを高めるためにも、うちもどんどんマスコットキャラクターを活用するべきじゃないか」
沖縄タイムスのマスコットといえば、日曜子ども新聞でおなじみ「ワラビー」。
「ここでみなさんに見てもらいたいデータがあります。世間的に人気が高いマスコットキャラクター、いわゆる『ゆるキャラ』を、インターネット百科事典ウィキペディアの記述量で比較してみました」
「まずはこの『黒いやつ』です。肥後地方に生息する熊で、全国的にもバツグンの知名度を誇ります。経済効果は2年間で1224億円に達する(2013年12月30日、沖縄タイムス)との日銀試算もあります。ウィキペディア記述量は約3万字。A4用紙21枚分に達します」
「続いてこの『黄色いやつ』です。関東地方特産の果実の妖精だそうです。ニセモノが出没するほど人気で、子どもたちにめっぽう愛されています。ウィキペディア記述量は1万4千字、A4用紙10枚分に当たります」
「さらにはこの『青いやつ』です。一見UMA(未確認動物)にも見えますが、出自的には『島生まれ』らしいので一応、人?なのでしょうか。同じく記述量は約5千字、A4用紙5枚分です」
「最後にワラビーですが…ウィキペディア記述量は…たった1行、31文字です」
ワラビー ー 沖縄タイムスの親子向け新聞のマスコットのゆるキャラ(出典:ウィキペディア)
会議室はざわついた。
「…31文字て」
「短歌かよ!」
ワラビーを早急にどうにかしなければー。出席者に危機感が広がる。
いらだつ銘苅はテーブルにこぶしをぶつけた。
小林が応える。「きょうの会議にはワラビーも呼んでいますよ。そこにいるでしょう」
会議テーブルの末席を振り返る出席者。そこには…
「会議をサボるなんて、性根までゆるキャラか!小林、お前の監督不行き届きだぞ!」
「今すぐワラビーを探してこい!」
…ワラビーはどこへ消えたのか?後編に続く!
今日初めて拝見させていただきました。おもろい!なんで、こんないいのを、読者局経由で販売店に告知しないのか、わてにはわかりまへん?頑張って続けてくださいね。ちなみに、上港川販売店の照屋店主からのラインにて知りました。照屋店主の動きにはいつも、頭が下がります。私も店主仲間や店会で皆さんに伝えます。みんな、見ると思いますよ。小林さん、演技力、いいね♪
く~み~さん、はじめてのかきこみありがとう!
いつも新ぶんはいたつもありがとう!
照や店主には野きゅう大会であいました!
あの時もらったうちわ、どこに行ったか分かりません…