「特命」って何だかかっこいいぞワラビー
「特命」って何だかかっこいいぞワラビー
7月1日。おごそかな空気がタイムスビル2階ギャラリーに流れていた。沖縄タイムスの創刊記念日に当たるこの日には例年、管理職を中心とした辞令交付式と、入社以来の節目の年を迎えた社員の永年勤続表彰式が行われる。
…そして、ギャラリーの隅には「がんばる」ことを決めたワラビーの姿もあった。
「ワラビーにはこれくらいしかできないけど…」
辞令を受けた1人1人に精いっぱい拍手を送るワラビー。ただ、手がふかふかのせいで、本人の労力に比べ、拍手の音はまったく響いていない。
最後の1人への交付が終わる。場内の空気がゆるみかけた時、司会からのアナウンス。
「ここで大型?いや、中型…というか、新人が沖縄タイムス社に入ります。ワラビー、前へどうぞ」
「…えー!!」
まったくのサプライズ指名。ワラビーの胸はスーパーボールのように大きく弾んだ。
(ドキドキ…)
(ドキドキ…)
豊平社長が辞令を読み上げる。「ワラビー殿。経営企画室 広報担当特命社員とする…頑張れよ」
先輩社員からも温かい拍手が起こった。
「ありがとうございます!ワラビーです!ありがとうございます!」
「遊説か!」
ワラビーに役職を与えたら、「仕事への責任感」が生まれるのではないか―。今回のサプライズ人事を画策したのはタイムス社経営企画室長の銘苅達夫であった。ワラビーを経企室直属として育て、ゆくゆくは経企室の発言力強化へつなげるー。柔和な笑顔の奥に秘められた思惑。ただ、当のワラビーはそれを知るよしもなかった。
辞令交付式では豊平社長による激励のあいさつが行われている。
「先輩と後輩が社内でしっかりコミュニケーションできる関係を築けば、組織が活性化する。沖縄タイムスが未来永劫(えいごう)存続するためにも、先輩と後輩がものを言い合える雰囲気の会社にしてほしい」
そして、ワラビーのもとへ歩み寄り、言葉をつないだ。
「ワラビー、子どもたちに愛される、すばらしいワラビーになって下さい」
辞令交付式に続く永年勤続表彰式も滞りなく終わると、先輩社員が次々とワラビーを激励に訪れた。
勤続40年の大ベテラン、UPセンター(印刷センター)印刷部副部長の上間清次は、
「いいかワラビー、オーバーアクションで人を笑わせたほうがいい。中日ドラゴンズのマスコットキャラクター、ドアラを目指すんだ」
「コアラですか。コアラはなかなかうごかないけど…」
「違う、ドアラだ」
「縁もユーカリもありませんけど、がんばります!」
「…ひとしきり見ていたんだがね」
「やはりワラビーだけだとどこか心もとないね。どうだ。専属の教育係を付けるというのは」
「きょういく係…」
「うん、すぐ2階ギャラリーに来てくれ。なに、取り込み中?…いや、こちらは急を要するんだ。とにかくいま来てくれ」
(1分後)
「…これからラーメン食べるとこなんですけど!」 無駄に写真5枚を使って登場した
編集局学芸部主任 村井 規儀(のりよし)
銘苅「いいか村井。今から君をワラビーの教育係に任命する。君はハンバーグとカレーとたまご焼きが大好物だと聞いているから子どもの気持ちもよく分かるだろう」
村井「えー!僕のラーメンがのびちゃう!…いや、問題はそこじゃない!」
銘苅「とにかく早く社長から辞令を受け取るんだ」
辞令は都合よく用意されていた。豊平社長が口を開く。「辞令。編集局学芸部、村井規儀殿。…ワラビー担当、いきものがかり兼務とする」
「えええ?いきものがかり!?」
無邪気に喜ぶワラビー。「村井せんぱい、これからよろしくね!」
「ラーメ……分かりましたよ!とりあえず、がんばるぞワラビー!」「おー!」
新人広報ワラビーといきものがかり・村井の今後の活躍にご期待下さい!
~おまけ~
永年勤続表彰(16年)ももらいました。