太陽と海とジョガーの祭典なんだワラビー
太陽と海とジョガーの祭典なんだワラビー
約2500年前の古代ギリシャ。味方の勝利を知らせるため、マラトン(Marathon)からアテネまでの2都市間、42.195キロを休みなく走ったギリシャ兵は勝利を報告後、息絶えたというー。
「いいかいワラビー、マラソンとはそれぐらい過酷なスポーツなんだよ」
「村井せんぱいもチャレンジしたことがあるの?」
「最近過酷だった経験といえば、胃カメラを飲んだことぐらいかな。中間地点まで行ったよ…」
そんな過酷さとは無縁そうな一人と一匹がやって来たのは7月1日のタイムスビル1Fロビー。12月7日に号砲を迎える第30回NAHAマラソンの仮申し込み受け付けがこの日始まったのだ。約3万人の参加を見込む国内最大級の市民マラソン(※3万人を超えたら抽選)。腕…もとい、脚に覚えがありそうな市民ランナーが続々と仮申し込みを済ませる中、広報担当として初仕事のワラビーははしゃいでいる。
「村井せんぱい、これってロケっぽいですよね!」
「…そうだねワラビー(社内だけどね)!」
マラソンには参加したことがないワラビー。好奇心がむくむくと湧き上がる。
「ここがうわさに聞く給水地点ですか」
どうやらワラビーの中では、仮申し込みの時点でレースは始まっているようだ。
「違うよワラビー。ここで仮申込書をもらったり、参加要項を確認したりするんだよ」。受付の男性がていねいに教えてくれた。
「じゃあワラビーも仮もうしこみ書をもらいます!NAHAマラソンにでます!」
「えー!何を言い出したのワラビー!」。静観していたいきものがかり・村井も思わず止めに入る。
「そんなふかふかな体で!」
「でもワラビーは、がんばって子どもたちをワクワクさせるって決めたんだ…」
村井「つぶらな瞳でアピールしたー!!でもだめなものはだめ!」
「どうなるか分からないし、胃カメラよりもさきにすすめないワラビーかもしれないけど…」。ワラビーは声を絞り出す。 「何もやらないよりもやってからのほうが、だめだもっとがんばろう、って言えるとおもうんだ…」
…こいつ、言ってくれるじゃん。
村井はしばし考え、やがて思い直した。「よし、ワラビー!NAHAマラソンに出よう!」
「え、いいの?出てもいいの村井せんぱい!?」
「僕も応援するよ!振込金は出さないけど、口は出す!」
「やった!ワラビー、がんばるよ!」
仮申込書の空欄を和気あいあいと埋めていくワラビーと村井。
「参加するともらえるTシャツのサイズだけど、ワラビーは一番大きな3Lかな」
「もっとおおきいんじゃないですか」
「…いろんな意味で規格外のやつだぜワラビー!」
仮申し込みは、会計で手数料を支払えば終了となる。だが、そこでワラビーと村井を待ち受けていたのは厳しい現実だった。
「ごめんね、ワラビーは参加できないの」。受付の女性は申し訳なさそうにかぶりを振った。
「え、どうしてですか」。固まるワラビー。
「お姉さん、この子は今変わろうとしているんですよ!」村井も続いた。
「…申込み要綱をよく読んでもらえれば分かると思うんだけど、ここのところ」。受付の女性が指で示した先には、こう書いてあった。
「ペットの伴走は出来ません」
村井「いやお姉さん!そもそもワラビーはワラビーで、僕のペットじゃないし!」
ワラビー「村井せんぱいはワラビーのペットじゃないですよ!」
村井「いやワラビー、それ、なんか違う!なんか逆!」
受付の女性はあきらめて、というようにぴしゃりと言った。「競技を安全、円滑に運営するためにも、ワラビーの参加は認められません!」
「…そーんなー!」 崩れ落ちるワラビー。NAHAマラソン初挑戦の夢は、わずか5分間でついえたのだった。
「ワラビー、また一緒に違うチャレンジを見つけよう」。村井はただただ、なぐさめるしかないのであった。
~お知らせ~
「県内外のジョガーのみなさん、多くの参加を、お待ちしています!」
~NAHAマラソン協会事務局~
ワラビー「ワラビーは応援がんばるよ!」
事務局と琉球銀行での仮申し込みは7月8日まで、その他の窓口での仮申し込みは7月22日までです。申し込みはお早めに!