友ありて北方より来たんだぜワラビー
友ありて北方より来たんだぜワラビー
―の1階受付に突如、顔の「圧力」が強すぎる生物が現れた。「おいーっす!」
「きゃっ」思わず悲鳴を上げる受付・根間美寿々。
「なあ、ワラビー呼んでくれよ!おいら、ワラビーと友だちになりに来たんだ!」
「どなたですか?」
「ひまわり大好き、お祭り大好き、おいら“北の”ぺーちんだぜ!」
「北野さま、ですか?」真面目に応対する根間。
「違うよお嬢ちゃん!北中城村の地域活性化キャラクター、北のぺーちんだぜ!妖精界の夏休みを利用して、人間界に自由研究に来ているんだぜー!」 今は1月。ロンバケすぎるぞぺーちん。
「タイムスの受付って、人間じゃないものがよく来るよねー」来客にすぐさまスマホを向ける、恐れ知らずの受付・佐藤亜衣香。
―そんなわけで、急きょ受付に呼び出されたワラビーと、ワラビー担当いきものがかり・村井規儀。
「あっ、村井せんぱい、『しんじつの口』です!」
「ワラビーおいっす!おいらと友だちになれ!」 高圧的か。
「…村井せんぱい、あの口と友だちしてもいい?」
「『口』ありきかよ。とりあえず、ワラビーが決めることだろ。話してみなよ」
「口さんは、新ぶんよむ?」タイムスを差し出すワラビー。
「おう、読むぜ!人間界のことを勉強するのに、新聞はもってこいだからな!」
「べんきょう家です!ハイどうぞ」
「ワラビー、サンキューな!それにおいらは『口』じゃなくて、北のぺーちんだぜ!これからよろしくなワラビー!」
ひまわりデコの「しゃべれる獅子」 北のぺーちん(貫禄がありすぎる10歳)
一同は場所を11階編集局に変え、ぺーちんから話を聞くことにした。
「おう!おいらは県内の『ゆるキャラ』友だちを100人つくることが目標だぜ!おいらが会いに来た順番では、ワラビーは読谷村の『よみとん』、嘉手納町の『いもっち』に次いで3キャラ目だな!でも3番目ってことじゃないぞ!友だちはみんな平等だ!そうだろワラビー!」 よくしゃべるな。
「でも、100人いたら、ピザを分ける時にこまります…」
「小さい事言うんじゃないぜワラビー!」
ぺーちんをサポートするのは、村企画振興課の山城奨吾主事。「北中城村には『観光』担当の“北の”ぺーちんのほかに、『平和』担当の”中”ゆくりん、『健康』担当の“城”まーいの女の子2体がいるんです」
「2人とも、おいらの妖精界の幼なじみだぜ!とっても仲良しさ!3人そろって『北中城』だぜ!」
村井が尋ねる。「ぺーちんは誕生して1年を迎えるわけだけど、もう10歳なの?」
「妖精界と人間界は時の流れ方が違うぜ!いつまでも夏休みだし、来年11歳になるかと言われたら、そうでもないぜ!」
「ワラビーも『いつまでも子ども』です!」どこかうれしそうなワラビー。
「ところで宣伝だぜ!北中城村では2月7日土曜日からヒマワリ祭りが始まるぜ!一面のヒマワリ畑、楽しみにしてくれよな!」話の流れを大幅に変え、いきなり祭りの告知をぶちこんできたぺーちん。
「ヒマワリ畑、楽しみです!」
「そうだろワラビー!よろしくな!」
「ハイ!」
取材は終了。するとワラビーが口を開いた。「ねえぺーちん、ワラビーとあそぼう?」
「おういいぞ!何をするんだ?」
「このまえのタイムスに、北中ぐすく村のしょく員は、バランスボールにすわって仕ごとしてるって、のっていました」
ぺーちんが応じる。「おう、健康のためにな。背筋がぐんぐん伸びるし、血流もぎゅんぎゅん巡るぜ!」
※個人の感想です。
「だから…バランスボールのボウリング…バランスボーリング大会です!」バランスボールを取り出したワラビー。
「おうワラビー!眠そうな顔で知恵しぼったな!いいぜ燃えるぜやったるぜ!」 気合がみなぎるぺーちん。
「ハイ!」
そんなこんなで、第一回ワラビー杯争奪バランスボーリング大会が開幕した。
先攻はワラビー。「りつ子よ、ワラビーに力をください!」 あの「りつ子」か。
ワラビーが投じたボールはむなしく脇にそれ、倒したのは1ピンのみ。「あっ」
「おいどうしたワラビー!このままだと、おいらが勝っちゃうぞ!」すでに勝ち誇った顔…いや、もともとそんな顔のぺーちん。
「…じゃあ、おいらはこのボールを使うぜ!」 巨大なバランスボールを持ち出してきたぺーちん。
「ちょっとぺーちん、それズルじゃないの!」 村井が突っこむ。
「あんなちまちましたボール、投げてられないぜ!男なら、夢とボールはでかい方がいいぜ!」
「ぺーちん、ワラビーもそれでやりなおします!」
「おっと!バランスボールの大きさに決まりはなかったはずだぜ!」 ルールの不備を突く、策士なぺーちん。
ペットボトルがはじかれる音。6本中5本を倒した。「ああ、おしいぜ!あと1本!」
すると、ワラビーがいきなり走り始めたと思いきや、残った1本を手で倒したではないか。
「…ほらぺーちん、ストライクだよ!」
「ワラビー…」ぺーちんが息をのむ。「お前、いいやつだな!友だちになってよかったぜ!」
「ハイ!」
ハイタッチするぺーちんとワラビー。「アッハハハ…」「アハハハ…」
そして、別れの時。
「ぺーちん、さいごにおねがいがあるんだ…」
「ここにのぼって!」 タイムスビル前の石看板を示すワラビー。
「かっこいいです!ぺーちんはそこでずっと、タイムスのシーサーとしてまよけになって!」 教科書通りの無茶ぶりを見せるワラビー。
だが、ぺーちんは残念そうにかぶりを振った。「ごめんなワラビー。それはできないぜ!おいらはまだまだ、友だちをつくりに色んな所へ出掛けないといけないぜ!」
「そうなんだ…」落ち込むワラビー。
「しょうがねえな。じゃあこれをやるぜワラビー!」そう言ってぺーちんが取り出したのは、ヒマワリの種。
「食べちゃだめだぜワラビー!これをここ、タイムスビルの前にまく。ヒマワリがすくすく育つぜ。そのヒマワリがおいらの代わりに魔よけとなって、タイムスとワラビーを守るぜ!」
「やった!ありがとうぺーちん!」 勝手にまいていいのかよ。
「じゃあ、ワラビーも自ゆう研きゅうとして、きょうのおやつの柿のたねをまいておくことにします!」
そう言って、不毛の種をまこうとするワラビー。
「おいワラビー、それ自由すぎるだろ!育つわけないし、食べ物を粗末にしちゃダメ!」 村井に止められた。
「…えー!」
柿の種は育たなくても、ぺーちんとの友情はヒマワリのようにまっすぐ育てよう。そう胸に誓うワラビーであった―。
~おまけ①~
役員室も訪問したぺーちん。
「びびってんじゃないぜ山城主事!」
~おまけ②~
ぺーちん「そろそろ噛まれるぜワラビー!」
~ワラビーブログスタッフより御礼~
ぺーちん、山城主事、ブログ撮影への快いご協力、本当にありがとうございました!沖縄と沖縄ゆるキャラを、これからもともに盛り上げましょう!
ワラビー「8月9日のワラビーまつりにも、ゆくりん、まーいと3人であそびにきてね!」