隅に置けない奥の島々だったのさワラビー(前編)
隅に置けない奥の島々だったのさワラビー(前編)
沖縄タイムス社のふるさと元気応援企画「沖縄の奥、島の奥。おくなわの観光・物産と芸能フェア」(主催・おくなわプロジェクト推進協議会、沖縄タイムス社)が13日、那覇市久茂地のタイムスビルで幕を開けた。
県内でも人口規模が小さく、人の出入りが少ない粟国、渡名喜、南大東、北大東、多良間の5村が力を合わせ、観光客の呼び込みや地域活性化を目指すのが、この「おくなわ」プロジェクト。会場には5島の農産物や水産物の各加工品が展示・販売され、買い物客らでにぎわいを見せている。15日まで。
この日は9回目を迎える「ふるさと企画」で、初めてテープカットのハサミ持ちを任されたワラビー。
「ハサミもちは出世のだい一歩。ここからワラビーの会社いん人生がはじまる…」
「つーか始まってなかったのかよワラビー」
ワラビーを補佐するのは毎度おなじみ、いきものがかり・村井規儀。
5村を代表して、多良間村の伊良皆光夫村長は「5つの島々には手つかずの自然が残っており、独特の文化や伝統芸能が継承されている。特産品を食べ、芸能を楽しみ、島々の魅力を五感で体感してほしい」と呼び掛けた。
沖縄タイムスの豊平良孝社長は「5村が一緒にできることは社の誇り。5つの島は知名度こそ低いが、大きな魅力や可能性を秘めている。島のさまざまな魅力をタイムスビルから発信したい」と意気込みを話した。
「アニーちゃん、ひさしぶり!ワラビーだよ!」
そこにいたのは、昨年ワラビーが出場した「とまりんフェスタ2014」にも同じく出場していた、「むんじゅる(麦わら)の里」粟国村のゆるキャラ、アニーちゃん。
「あいかわらず、まつ毛がながいね!」 握手しようと両手を差し出したワラビー。
しかし、アニーちゃんは片手のみで握り返す。「ああ、ワラビーね……」
基本は「粟国の塩対応」 プロフィールがググれない謎系美少女 アニーちゃん
アニーちゃんがはずむような反応を見せたのは、「おくなわ」5島が誇るもう1体のゆるキャラ、たらぴん。
「こんにちは!ボク、たらまじまのみりょくをPRするピンダ(やぎ)、たらぴんだメェ~」
「かわいい~!まだ子どもなんだ?」
「せいご3かげつだメェ~」
子ヤギは一般的に生後3カ月で乳離れするという。今回は「おくなわ」フェアのために親元を離れ、単身、東シナ海を渡ってきてくれたようだ。
食用ヤギ生産が盛んな多良間から来た「生きる食育」 たらぴん(永遠の生後3カ月)
「ワラビーとたらぴんで、反のうがちがいます!」 アニーちゃんが見せた、小さい子への神対応に、ショックを受ける有袋類。
「村井せんぱい、ショックでおなかが空いてきました…」 いきものがかりにすがりつくワラビー。
「ショック関係ないだろ。とりあえず各ブースを回ろう。5島だからてきぱき行くよワラビー」 村井が先を急ぐ。
まずは南大東島。水産物の加工品が中心だ。「あじくーたーシージャーキー」「まぐろジャーキー」、珍しい「さわらジャーキー」も並ぶ。
さっそく「あじくーたーシージャーキー」を試食する村井。「うん、うまい!濃いめの味付けで…お酒が飲みたくなりますね」
南大東村役場の菊池和広さんが対応してくれた。「酒にも合うんですが、実は子どもたちにも人気です。大人より先に飛びつくほどですよ」
「南大東はこれまでサトウキビとカボチャだけだったんだけど、最近はこういった作物を作る農家もいるんだよワラビー」と菊池さん。
「コーンだけでも甘い上にスイート…甘さの向こうがわです!」
コーンにかぶりつくワラビー。「おいしい…けど、ポップコーンじゃない!」
「何の確認だよ!」 村井が再度突っこむ。
北大東島のブースでは、株式会社ECOMAPが、同島産のゲットウを原料に使った石けんやクリーム、天然芳香消臭スプレー(ゲットウ、ひば、ゆず、ラベンダー)などを販売している。
2010年、島にゲットウの加工施設が完成し、ゲットウ関連商品を生産する態勢が整った。ゲットウ葉水を原料に含む「月桃葉潤水」が人気商品だという。
ちなみに屋外の飲食ブースでは、沖縄そばのめんにゲットウを練り込んだ「ゲットウそば」や、特産のジャガイモのチップス、そばも人気を集めた。
さて、ワラビーと村井は3島目、粟国島のブースにやって来た。
粟国村役場の小林憲生さんが相手をしてくれる。「『粟の国』と書いて粟国。やはりモチキビが一押しですね。素朴な味わいの『もちきびかりんとう』は人気があります。モチキビをお米に混ぜると、もちもちした食感が楽しいですよ」
「ほほう、しょっ感がたのしい…」 多分後半しか覚えてないワラビー。
村井が声を掛ける。「ほらワラビー、ようかんもあるよ」
「…ハッ!ようかんなのに、しょっぱさも感じます!」
小林さんが補足する。「それは塩ようかん。『粟国の塩』を使っているので、うまいですよ」
「ハイ!」
その時。ワラビーにするどいソプラノボイスが飛んだ。「ちょっとワラビー、試食するんなら、もちろん買うんだよね?」
ーアニーちゃんだ。「あたしがだーいすきな粟国島のためにお願いね!あたしは島のために一生懸命頑張りたいし。ちなみにこれが『粟國の塩』だよ」
ミネラル豊富な「粟國の塩」は天然海塩ブームの先駆け的な存在で、現在でも全国で人気を博している。
「えー!?ワラビーしんじらんない!」頭を振るアニーちゃん。
「それに、ワラビーは190円しかもってないです!」 妥当だな。
「わかったわ。あんたにはこれをあげるから!もうあたしには近寄らないでね!」 ワラビーに小皿を手渡すアニーちゃん。
「えっ、これはなに?」
「こんなにしおをもらっても、こまります!ゆでたまごもないし…」 魔よけの「盛り塩」の意味も分からず、その場に座り込んでしまったワラビー。
…とりあえずそのまま、タイムスビルの入口に置いときゃいいんじゃない。そんな言葉を掛けることもはばかられる、ワラビーの落胆ぶりなのであった―。
(「隅に置けない奥の島々だったのさワラビー」中編に続く)
~ワラビーからお知らせ~
「おくなわ」フェアは14日(土)、15日(日)もタイムスビルでやってます!
毎回人気の芸能公演は「粟国・南大東・多良間の民俗芸能」と題し、ビル3階のタイムスホールで14日の午後1時と午後4時、2回行われるよ!
料金は2000円、物産展で使える500円クーポン付きだよ!
多良間島・八月踊りの組踊が那覇で再現されるほか、映画「十五の春 旅立ちの唄」で話題を集めた南大東島のボロジノ娘が出演します!
そして、「十五の春」といえばタイムスで連載して反響を呼んだ「十五の春 離島からの進学」です!「おくなわフェア」ではその関連イベントも開催されます。
14日午前11時~ 2階ギャラリーで、高校のない離島から本島へ進学した高校3年生と保護者らによるトークがあります!
15日午前10時~ タイムスホールで県内の大学生でつくる団体「学生+」と、離島出身中高生が「自立・自律」や進学について一生懸命語り合います!
いずれも大勢の来場、お待ちしています!
~ワラビーブログスタッフからお知らせ~
5離島+3ゆるキャラの魅力は、文章が長い長いと言われて久しいワラビーブログでも、一編で語りつくせませんでした。…というわけでワラビーブログは14日(土)も更新!今回の中編・後編をお届けします。お楽しみに!