隅に置けない奥の島々だったのさワラビー(中編)
隅に置けない奥の島々だったのさワラビー(中編)
前回からの続きです。
「粟国の塩対応」アニーちゃんに振り回されるワラビーだったが、気を取り直して3島目、渡名喜島のブースを訪れた。
渡名喜村漁協は「イカ下足(げそ)スモーク」や「セーイカたんざく」、「カツオのハラモー(ハラモ)の炭焼き」などを販売している。(14日現在在庫わずか)
さっそくワラビー担当いきものがかり・村井が試食する。「うん!カツオは歯ごたえがあり、野性味も残る味わいが、炭焼きの香ばしさとマッチしてる。イカは甘辛くて、もっちりとやわらかいよ」
「ワラビーもこうしてられない!」
「おいしい!ワイルドなあじがします!きっとワラビーのご先ぞさまも食べたにちがいない…」
「草食動物のくせに適当なこと言うなよ」 村井が突っこむ。
渡名喜島が現在力を入れているのが、無農薬の島ニンジン栽培。「おくなわ」フェアにはその加工品として、「島ニンジンゼリー」がお目見えした。フルーツ果汁も加え、食べやすくしているという。漬物「にんじんポリポリ」はしょう油ベースの味付けに、にんじんの甘みもふんわり感じられる人気商品だ。
渡名喜村役場経済課の桃原望さんがゼリーを勧めてくれた。「ニンジンのにおいを抑えたり、食感を決めるのは難しかったです」
「そんな苦ろうをこえて、ワラビーがおいしい所だけいただきます!」 まったくだ。
村井がワラビーの口へゼリーを運ぶ。「すごいプルプルしてるよ」
「どうしたの?」
「うれしくてあわてすぎて、ゼリーで鼻のあたまがぬれてしまった…」
いよいよ最後の島となる、多良間島のブース。
「ヤギがけんかしている写しんがある!いさましい…」
「村井せんぱい、たらぴんもたたかうの?」
「たらぴんは闘ヤギじゃないし…食用の…おっと、これから進路を選ぶヤギじゃないかな」 危ない発言をしそうになる村井。
「多良間では闘ヤギを『ピンダアース』と言って、年2回大会があります」 たらま農産の知念正勝代表が教えてくれた。「多良間産のヤギは、潮風を受けて育つミネラルたっぷりの草を食べているから、肉がおいしいとされていますよ」
フェア会場ではヤギ汁と多良間産の牛汁、牛すじみそ煮込みを販売している。
ワラ「たらまぴんだは、ぜっぴんだ!」
知念「僕でも言わないオヤジギャグを言うねワラビーは…」
さらに多良間のブースでは、かたまり状の黒糖をハンマーでたたき割る、豪快な「かちわり黒糖」の実演販売もやっている。「ゴッゴッゴッゴッ」の音がロビーに響く。
「かたまりだと、気もちが上がります!」わくわくする有袋類。
ワラ「黒とうにノミが入刀される…シャッターチャンスです!」
ハンマーとノミを前に、なぜか彫刻家気分になったらしいワラビー。「この黒とうをけずり、ワラビー色にそめてみせます!」 いかんせん黒だろ。
「とりあえず手だけに気をつけてくれよワラビー」不安そうな村井。
いつのまにか伊良皆光夫村長も見守る中、1匹と1人が5分間、黒糖のかたまりと格闘した結果は―
「…非力な僕らですいません」 女性スタッフに謝る村井。
「いえいえ」 女性スタッフも苦笑いだ。
「疲れたから、多良間の黒糖の試食でもしようか…あっ、懐かしくて、優しい甘さ!」村井が目を細める。
「ワラビーも、し食しようか…」
「…ハッ!」
「どうしたワラビー」
「村井せんぱい、この甘さをよりひきたてるものを、ワラビーはもっています!」
「何だよ?」
「どれどれ…うん、引き立つ!ていうか黒糖→塩→黒糖→塩と、えんえん食べられそうな気がするよワラビー!」
「ホントです!アニーちゃんから塩をもらってよかった!アニーちゃんありがとう!」感謝のワラビー。どうやら粟国島の塩ようかんからヒントを得たのであろう。
「甘さとしょっぱさの繰り返しって、やばいねワラビー」
「えいえんに食べられそうです!」 女子会かよ。
多良間の黒糖に元気をもらったワラビーだが、ワラビーの「おくなわフェア」はここから佳境を迎えるのであった―。
(「隅に置けない奥の島々だったのさワラビー」後編に続く)
~ワラビーブロッグスタッフよりお知らせ~
「おくなわ」の魅力は2回でも収まりませんでした…。
後編も14日中に更新します!お楽しみに!