もういくつ寝るとまた正月だってワラビー
旧正月・ジュウルクニチー編
ワラビー 色とりどりのはた!村井せんぱい、ついにオリンピックがはじまったの?がんばれニッポン!
いきものがかり・村井 東京五輪は5年後だろワラビー。これは旧正月を祝う糸満漁港の写真だよ。今年は2月19日だったね。
ワラビー 旧正月…古いのに新しい年…ハッ!「一本でもニンジン」のいみが分かった!
村井 何を悟ったんだよ。旧正月は旧暦の正月。現在僕らが使っている暦(グレゴリオ暦)は、太陽の動きをもとにして作られているため、「太陽暦」と呼ばれているんだ。地球はほぼ365日で太陽を一周するだろう?
ワラ 365日…1年です!
村井 そう。だからカレンダーも1年は365日さ。でも正確に365日ではないから、4年に1度、1年が366日のうるう年があるだろうワラビー。
村井 いったん五輪から離れろよ。
ワラ じゃあ、五りんから一つ飛ばして、七りん焼にく…
村井 安々か。話が進まないだろ。でも、およそ140年前までの日本では、月の満ち欠けをもとに、太陽の動きも考えながら作られた「太陰太陽暦」が使われていたんだ。これがいわゆる「旧暦(天保暦)」。ただ、新月から新月までは30日に満たないので、12カ月にすると、365日に11日程度足りなくなっちゃう。本当の季節と、どんどんずれていくだろ。
村井 根性論かよ。違う違う。そこで旧暦では、ずれが大きくなってくると、「うるう月」を入れて調整するんだ。この時は同じ月が2つ出てきて、1年が13カ月になるよ。だいたい、2~3年に1度の割合でうるう月が出てくるんだ。
ワラ そうだったんですか!でも、ワラビーはふつうに1月1日に正月をむかえました…。
村井 うん。今はみんな、新暦に従って生活しているからね。でも、糸満は漁師の街。漁は月の満ち欠けととても関係が深いんだ。だから糸満の人は今でも旧暦を大事に生活しているよ。
ワラ おなじ沖なわでも、お正月がちがうんですね!おもしろいです!
村井 さらに、県内ではついこの前、3月6日にも正月を祝った人たちが大勢いたんだよワラビー。
村井 どんな集団うっかりだよ。この写真を見てごらんワラビー。
村井 そう。これは「ジュウルクニチー(十六日祭)」。旧暦の1月16日に、あの世の正月(グソーヌソーグヮチ)を祝う伝統行事なんだ。
ワラ 死んだあとも、正月があるの?
村井 そう。墓をそうじしたり、ごちそうをささげて先祖を供養したり、過去1年間に亡くなった親類の成仏を願う行事(ミージュウルクニチー)だよ。
村井 ジュウルクニチーと関係あるのかよ。
ワラ あれです…マスクメロンみたいなグループです!
ワラ 「♪なーがれーる、きーせつーの、ルールルルル―♪」みたいなうたです!ワラビーはいいうただと思いました…。
村井 そりゃレミオロメンだろ。んでもってそりゃサンガツクニチーだろ。全然違うよ!
ワラ ハッ!…村井せんぱい!ジュウルクニチーは、コンブとかんけいがあるにちがいない…!
村井 そりゃクーブイリチーだろ。もういいよ!
ワラ でも、おはかの前でごちそうを食べるのは、ジーマミーだけかと思ってました…。
村井 ていうかシーミー(清明祭)だろワラビー。ごちそうがピーナツ限定かよ。
ワラ それです!
村井 シーミーが有名だけど、歴史で言えばジュウルクニチーの方が古いんだ。シーミーは18世紀の中ごろ、中国から首里や那覇に伝わり、そこから県内全域に広まったとされるけど、それ以前からジュウルクニチーはあった。だから宮古や八重山、久米島など県内離島を中心に、今でもジュウルクニチーを祝い、祖先を供養する伝統は根強く残っているんだ。
村井 そうだね。いつまでも自分を大事にしてくれる子孫の気持ちも、きっとうれしいよワラビー。
ワラ ハイ!…でも、でも、村井せんぱい、沖なわには3回も正月があるんですね?
村井 そうだね。
ワラ 3回もあったのに、ワラビーは、1回もお年玉をもらっていない…。
村井 正月にお菓子をあげただろ。
ワラ じゆうにおかしをえらびたかった。お年玉がほしかった…。
村井 どうせ無駄づかいするだろ。
ワラ ほしかった…お年玉が…。
村井 なにその倒置法。分かったよ。お年玉をあげるよワラビー。
村井 あの世の正月だから、あの世のお金、ウチカビだよ。
ワラ コンビニでつかえる?
村井 使用法は「燃やす」一択だよ。
ワラ えー!じゃあおかしがかえない…。
村井 きちんとしたお金の使い方を、勉強してからだね。
ワラ ハイ…じゃあ村井せんぱい、せめて「サンガツクニチー」をうたってなぐさめて!
村井 なんだそのお願い!
ワラ ヒラミレモンの!