眠たげな君も覚めない夢の国へワラビー
ディズニー 夢と魔法の90年展 編
ディズニー夢と魔法の90年展~ミッキーマウスからピクサーまで~(主催・沖縄タイムス社、文化の杜共同企業体など)が4月28日、那覇市の県立博物館・美術館で始まった。
ウォルト・ディズニー・カンパニー創業後、90年間で創り出されたアートや小道具類、模型、コスチューム、セル画など約800点が一堂に展示されている。6月28日まで。
そして沖縄の地方紙が生んだ1ゆるキャラが、「ゆるくない方のキャラ」の銀河系軍団、ディズニーと相まみえる時がやってきた。
「村井せんぱい、ディズニーてんです!」 すでにテンションMAXの有袋類。
「ついに来たねワラビー。この星の子どもたちを魅了するマジックキングダムの世界に!」 こちらも気合が入っているワラビー担当いきものがかり・村井規儀。
「村井せんぱい、ビッグサンダーマウンテンや、スプラッシュマウンテンはあるの?」
「ランドやシーとは違うんだよワラビー。あってもどうせ乗れないだろ」
「なんで?」
「体型がおむすびマウンテンだからだろ」
「ひどいです!」
さて、入り口では「モンスターズ・インク」シリーズのサリーとマイクの等身大人形がお出迎え…のはずが。
「?」 戸惑うワラビー。「村井せんぱい、サリーとマイクが、何だかもやもやっと、パズルみたいになってます!」
「…実はそうなんだワラビー。この展示会場には、誰かの魔法がかかっているんだ。魔法…呪いとも言えるかもしれない」 深刻な顔を見せる村井。
「のろい…こわい!」
「そう、ディズニーにまつわる大人の事情を恐れる誰かの思いが魔法となって、展示物にモザイクをかけてしまったんだ」 何だその設定。
不満を口にするワラビー。「でもこれじゃ、見てもつまらないです!」
「うん。だから今日は僕らも魔法をかけて、展示物のモザイクを外していくよ」「思春期男子が習得したい魔法NO.1」かよ。
「元にもどるの?」
「戻るよ。それ!『キチン…キトサン…ポイ!』」 ノリノリだな。
(♪よくあるキラキラした効果音♪)
「こんな風に、今日はどんどん呪いを解いていくよワラビー」
展示会場に入ったワラビーといきものがかり。すると1匹と1人の目の前に、さっそく呪いがかかった展示物が現れた。
「ねずみ色のもやもやにしか見えない…」ワラビーが頭をひねる。
村井がつぶやいた。「ははあ。『蒸気船ウィリー』か」
「ねずみ色…確かにそうだな。これは世界一有名なねずみが、短編映画に初登場した時のワンシーンさワラビー。いま魔法を解いてあげる……それ!『グルグル・グルコサ・ミン!』」 世田谷生まれか。
(♪よくあるキラキラした効果音♪)
「あっ、船をあやつるミッキーです!かわいい!」はしゃぐワラビー。
「ほらごらんワラビー。『黒いやつ』より認知度が高い、世界一有名なクマだよ」
「ちっともわかりません…」
「じゃあまた、魔法を解くよワラビー」
ワラビーが村井を制した。「ちょっとまって!こんどはワラビーがま法をときたい!」
「ていうかパッと見でできるのかよ」
「できます!えーと……『ビビディ…バビ…バビ…』」 呪文を思い出そうとする魔法使いの弟子・ワラビー。
「意外と正統派だな」
「えっと…『バビ…バビ…』」
「しょうがないな」村井が残りの呪文を発した。『ディブー!』」
「あっ、クマのプーさんです!こっちもかわいい!」
「ホントだね。シャツにも『POOH』って書いてある。細かいなあ」感心する村井。
そこで、おもむろに振り向いたワラビー。「そういえばさっき、村井せんぱいに『デブ』って言われました…」
―このへんで、いいかげん真面目に鑑賞することにしたワラビーと村井。
「3D映画がポピュラーになる前に、映像に奥行と空間の広がりを与えた特撮技術…」
「ディズニーの90年の歩みは、そのまま映画が進化してきた歴史でもあるんだね。映画好きとして感慨深いや。このオーケストラを物語に融合させた『ファンタジア』のポスターの『総天然色』も泣かせるね」 興奮したのか、じょう舌になる村井。
「ワラビーはこの、ディズニースタジオのレストランのメニューにひかれます…!」
「ホントだ。ローストターキーのサンドイッチとかある。よだれが出そうだね」
映画「プリティ・プリンセス」でアン・ハサウェイが実際に着用したドレス(手前の赤)など、ディズニー映画や舞台の衣装の展示もある。
「キレイです!」
「大人だってプリンセスには憧れる。いや、現実から逃れたい、夢を見たい大人だからこそ憧れるのかも!」
「村井せんぱいがよくしゃべる…」
さらに展示会場内ではディズニーグッズを1300種類販売!県内でこの量のグッズが並ぶことは初めてじゃないだろうか。
最後に、ある展示の前で足を止めたワラビーと、いきものがかり・村井。
「ワラビー、僕はこの作品が一番好きかも」
―それは「パートナーズ」。ウォルト・ディズニーと手をつなぐミッキーマウスの像だ。創造者とその「作品」に「友情」が通う。像の一人と一匹の表情は、そんな絵空事を世界中の子どもと、かつて子どもだった大人に信じさせてしまうようだ。これもディズニーの魔法なのだろうか。
「ワラビー、僕らもまねしてみようか」
「ハイ!」
ともあれ、ディズニーの世界にどっぷりと浸ったワラビーと村井。大満足で展示会場を後にしかけたその時―。
村井が驚いた声を上げた。「おいワラビー、なにその頭の上!」
村井が目を丸くして言う。「この黒い毛玉はひょっとして…さっき呪いを解いたモザイクが集まったものかも!」
すると今度はワラビーがすっとんきょうな声を上げる。「村井せんぱい!村井せんぱいのあたまの上にも…毛だまが!」
「おそろいです!」
「…何だってー!」慌てて頭上に手をやる村井。「ホントだ!…でもちょっと、楽しいねワラビー!」
「ハイ!たのしいです!」はしゃぐワラビー。「まほうの国みたいです!」
「そうか、じゃあ帰ろうかワラビー」
そんな魔法ありかよ。ツッコミどころ満載のまま、タイムス社への帰途へつくワラビーと村井であった―。
~ワラビーからお知らせ~
ディズニー夢と魔法の90年展は6月28日(日)まで、県立博物館・美術館でやってます!
開館時間は9時~18時(金・土曜日は20時まで)、入場は閉館の30分前まで。
月曜はお休みだけど、5月4日は開館、代わりに5月7日は休館だよ!
入場料は一般1000円、高大生800円、小中学生500円です!
お問い合わせ先は沖縄県立博物館・美術館 電話098(941)8200 だよ!
記念企画もあります!詳しくは文化事業局ホームページをチェックして下さい!