麺のちエクササイズ、時々思い出すよワラビー(前編)
久茂地ラーメン食堂&ごっちゃん 編
夏が来た。1951年の観測以来過去3番目に短い梅雨が明け、県内はここ数日、気温30度を超える陽気に包まれている。
そんな中、毛皮に包まれ暑さに弱いワラビーは、冷房が利いたタイムスビルの2階で、ひとり風船バレーボールに興じていた。
「日ごろから体をうごかすことが、かんじんです!…Aクイックだよ!」
―そこに通りかかったのはワラビー直属の上司、タイムス経営企画室主任・小林剛。
「あっ、小林せんぱい!ワラビーとバレーボールで、東洋のマルちゃんをめざそう!」
「緑のたぬきか。『東洋の魔女』な。…お前最近、仕事してるとこ見てないぞ」
「暑いので、ビルで充でん中です!」
「ダメ人間のせりふだな。…まあいい。付き合ってやる。先攻・俺な」
「やった!…そーれ!」 ポーン。小林に風船をトスするワラビー。
「よし、ちゃんと拾えよワラビー」 小林の眼鏡の奥がぎらりと光る。
「…ハイ!」
「それ!」 バシュッ!小林の放ったスパイクがゴム風船の常識外のスピードでワラビーを襲った。
「あっ!いた…くはないけど、やっぱりこわい!…小林せんぱい、いわい!いわい!」 何語だ。
「しょうがないな。何かスッとしたから、ドーナツをやるよワラビー」小林は手に持っていた紙袋から、ドーナツを手渡した。
「あ!ポンデリングのまっ茶チョコです!やった!」弾んだ声を出す有袋類。
「ハイ!…それはそうと、1階からおいしそうなにおいがします!カツオにしょう油、トンコツ…」吹き抜けのエントランスから漂ってくる香ばしいにおいにつられ、ふらふらと階下へのエスカレーターへ向かうワラビー。「こっちです!」
(何かやらかさないか心配だな。部下は信頼しても、完全に信用しない。それが俺流だ) 小林も静かにワラビーを追った。
さて、タイムスビル1階ではこの日19日、「久茂地ラーメン食堂」が開幕した。「肉そばけいすけ」(東京)をはじめ、県内から「三竹寿」「麺処鍵」「つけ麺SAKURA」の計4店が自慢のメニューを販売している。
営業期間は初日を含め4日間。20日土曜、21日日曜は午前11時~午後5時、最終日の22日月曜は午前11時~午後2時まで。いずれも売り切れ次第終了となる。
こちらはつけ麺SAKURAが提供するちゅら塩ラーメン。県産の塩、かつおだしがベースで、あっさりと滋味深い。刻み昆布に軟骨ソーキと、沖縄そばのようなトッピングもユニークだ。
三竹寿のまぜそばはしょう油だれベース。一口すすると口の中に濃厚な魚介のうまみが広がる。チャーシュー、メンマ、ネギなどの具材も豊富だ。
麺処鍵のまぜそばも魚介のしょう油ダレベース。多種類の香辛料が重層的に香り、ピリ辛で後引く味。ボリュームもたっぷりだ。
さらに、肉そばけいすけの肉そばは、天然醸造の深みあるしょうゆだれが特徴で、大量の豚肉で取ったスープにショウガの刺激がアクセントとなる。最速で売り切れたため、残念ながら画像なしである。
「…小林せんぱい、1階に下りてみたら、タイムスビルがラーメンビルになってました!こんなワクワクイベントをどうしてワラビーに教えてくれなかったの?」
都合よく「肉そばけいすけ」の看板の前から再登場したワラビーと小林。
「ハイ!おいしいものは全部好きです!メンすすり、腹さする…」
「愚問だったな。あと、何だその韻を踏んだ感じ」
会場内は食券制。ハーフサイズのラーメンが2杯食べられる千円分のチケットを販売しており、期間中はいつでも使える。
「エスカレーターの下のほうでチケットをかってね!ワラビーがいたら、ついでにかってあげてね!ハーフでもいいよ!」 半人前にお似合いだな。
また、今回のイベントを主催する沖縄サントリーは、ノンアルコールのビールテイスト飲料「オールフリー」の試飲ブースを設置。ラーメン購入者に無償で提供している。
ワラビーは子どもなのでもちろん飲めないが、小林がさっそく試飲した。
「うん。のどごしが良くてうまいな。ラーメンで濃くなった口の中もさっぱりするし、ノンアルコールとはいえ、明るいうちから飲んでいるという背徳感もたまらないよね」
かつてこのブログで、こんな笑顔の小林を見たことがあっただろうか。
「小林せんぱいが、CMみたいです!」戸惑うワラビー。
一部関係者には「夏場にラーメンイベント!?」という困惑もあっただろうが、会場は大盛況。午前11時半からは各店とも行列ができ、正午すぎにはビルのロビーまで延びてきた。
この日の行列は最大で約30分待ち。午後1時半までには全店売り切れとなった。県内のラーメン人気の高まりをうかがわせる。
「ワラビー。一杯くらいならおごってやるぞ。好きなの食べろ」気前がいい小林。
「やった!じゃあ、じゃあ、ワラビーも早くお店を決めなきゃ!売り切れちゃう!」 焦るワラビー。
「でもお前、ハーフにしとけよワラビー」
「太ったし…それに最近各方面で『顔でかい』『顔でかい』言われてるしな」
「…ええー!」ショックを受ける有袋類。
その時、久茂地ラーメン食堂会場を訪れた、怪しすぎる動物(?)がいた。
「ラーメン……メタボ……かなシ~サ~★ 県民の健康を、勝手に守りに来たサ~♪」
動物は独り言をつぶやきながら、ロビー内へ入ってきた。「サラリーマンやOLのみなさんが大行列で、でーじ盛り上がっているね~♪」
「…ハッ!すごいです!」ワラビーが瞳を輝かせる。「小林せんぱい!小林せんぱい!」
「何だワラビー。シュールな造形の奴が現れたな」
ワラビーは声を弾ませる。「歩くポンデリングが来ました!ウフ!ウフフアハハ!」
「それを言うならポンデライオンだ…って微妙に違うだろバカ!」小林が突っこんだ。
―怪しい動物は何者で、何をしにタイムスビルへ来たのか?
「麺のちエクササイズ、時々思い出すよワラビー」後編へ続きます!
~ワラビーからお知らせ~
「久茂地ラーメン食堂」は22日(月)まで、那覇市久茂地のタイムスビルでやってます!土曜、日曜日は午前11時~午後5時、月曜日は午前11時~午後2時までだよ!いずれも売り切れ次第終了なので、お目当てのラーメンがある人は早めに食べに来てね!
「待ってます!」