一周回って「本物」を目指すんだワラビー(前編)
ネオパークオキナワ・パルマワラビーに会いに行く 編
「みんなこんにちは!ワラビーだよ!」
「こんにちは!ワラビー担当いきものがかり・村井です!ブログ1周年…」
「ありがとう!―そして村井せんぱい、ここにワラビーの仲まがいるんですね?」瞳を輝かせるワラビー。
「そうだよ。僕らも県内の色んなところへ行ったけど…」
「ぺーちんやおじいさん、友だちはいっぱいできました!…でも、ワラビーの仲まには、まだ出会えてません!」
「―そこで今日はワラビーの仲間を探しに、県北部の名護市に位置するここ、ネオパークオキナワ(名護自然動植物公園)へお邪魔したってわけさ。ここにはワラビーが20頭飼育されているんだ」
「ワラビーがネオパークに入ったいま、ワラビーが21とうになりました!」
からかう村井。「ワラビーはみんなの5倍頭が大きいから、つごう25頭くらいだろ」
「ひどいです!」憤慨するワラビー。
園内では同パークの飼育担当員、喜瀬碧子(きせ・あおこ)さんが出迎えてくれた。この日一日、ワラビーと村井をアテンドしてくれるという。「よろしくねワラビー、村井さん」
「碧子さん…素敵な名前ですね。紺碧(こんぺき)の『碧』ですか」村井が感心する。
「ありがとうございます。『ぺきこ』って呼んで下さい」 初対面でか。
村井「…今日はよろしくお願いします!ぺきこさん!」 呼ぶのかよ。
ワラ「よろしくね、ぺきこ!」 敬称どこだ。
ネオパークに足を踏み入れた来場者は、まず鳥たちの洗礼を受けることになるだろう。
頭上十数メートルの位置にネットを張りめぐらせる、フライングケージ方式を採用した広大なネオパーク。「鳥の住みかにヒトがお邪魔した」という感覚だ。世界各地から集められた鳥は敷地全体で約500羽。水辺や樹上、陸上で思い思いに過ごしている。
トリよ。
トリよ。
トリたちよ。
「トリ目です!」
「そりゃ夜見えないやつだろ」
「どうですか、エサやりもできますよ」喜瀬さんが勧めてくる。青い袋に入った鳥用のエサ(パンくずなど)は1袋200円だ。
「あ、直接食べに来る!」村井が驚きの声を上げた。
人慣れしているのはアフリカクロトキ。村井の手のひらからエサをついばんでいく。
「ワラビーの手からもエサをたべて!♪ルールルルル ルールルルル♪」
村井「すべてのクロトキが同じくらいワラビーと距離を取っている!」
ワラ「転こう生の気分です!」
見かねた喜瀬さんが、特別にワラビーへ魚を渡してくれる。「これだったらみんな好きだから」
「あお子さん、ありがとう!いいエサを食べてます!」
ちなみに土日の夕方4~5時限定で、一般客も魚(いいエサ)を与える体験ができるそうだ。
トングで魚をつかんだワラビー。「鳥さんたち、青魚だよ!…青いよ青いよ!」
村井が苦笑する。「ワラビー、『青さ』は別にセールスポイントじゃないだろ。青さが光るのは……青春、くらいだろ」 何言ってんだ。
しかし、ここでも結果は変わらなかった。村井の手からは食べるが―。
―鳥はワラビーに近寄ってこない。
「どうしたのワラビー」
「ワラビーは、鳥とは仲よくなれないにちがいない…」すねる有袋類。
「最後のチャレンジです!」気を取り直したワラビーが、再び鳥たちの前へ魚を掲げる。粘りと頑張り。自分との闘いである。
すると。
「やった!」喜ぶワラビー。
(…してたのさ) どこからか、かぼそく聞こえるような声。
「?」 戸惑うワラビー。
「キャッ!鳥がしゃべった!」驚くワラビー。
(しゃべってはいない。私は、野生生物が誰しも持つ、生きるための「本能」に直接メッセージを送っている。目の前の相手の態度、動作、たたずまいから危険度を察知する。危険度は「信号」と言い換えてもよい。信号から「空気」を読む。逃げるべきなのか、それとも一緒に、やわらかい草を食[は]んでもよい相手なのか―。そうでなくては、野生では生きていけない)。クロトキは魚をついばみながら、ワラビーへ語りかけている。
ワラビーはかぶりを振った。「よく分かりません…」
(君にも備わっている能力さ、ふくよかなる者よ。私の「言葉」が分かるだろう?…ただ、感情を読み取る手段という点において、テレパシーというよりは――読唇術に近いはずだ。君は私の「体から発する雰囲気」を、主に視覚で認識することで、私の「言葉」を聞いているはずだ、ふくよかなる者よ)
「村井せんぱいに聞こえていないということは…ワラビーもたぶん、耳を使っているわけではありません!」
(うむ。私は君の『根気』と『気づき』を試していた。そして君からもらった魚はおいしかった。ありがとう。その礼として、このパークの動物たちに君を、君の仲間のもとへ案内させよう、ふくよかなる者よ)
「えっ!…ワラビーを、ワラビーの仲まのところへ連れてってくれるの!?ありがとう、パンダガラスさん!」 ネーミングが独特すぎるぞ。
(さらばだ) クロトキはそう言い残すと、ワラビーのもとを去った。
「村井せんぱい、ふしぎな体けんをしました!鳥がしゃべったことで、ワラビーはワラビーをさがしやすくなります!」興奮する有袋類。
「ふーん。さっぱり分かんないけど、とりあえず先を急ぐよワラビー」特に関心はない村井。
ふと、村井へ疑問をぶつけるワラビー。「ところで、『ふくよかなるもの』ってどういう意味ですか…?」
「端的に言えば『太ってる』ってことだろ」
「……えええー!」 超言われてたぞ。
その前に、不思議な鳥が立ちはだかった。(仲間を探してる動物ってのは、あんたかい?)
ワラ「村井せんぱい、頭の上にショウガが乗ってます!ショウガ鳥がしゃべった!」
ー果たして一行はワラビーの仲間(本物のワラビー)までたどりつけるのか?
「一周回って『本物』を目指すんだワラビー(中編)」へ続く!
~ワラビーからお知らせ~
ワラビーブログは1周年記念更新祭り!一週間連続更新の予定です!あすも見てね!
ワラビー先輩、ブログ開設1周年おめでとうございますりゅう☆
まさかブログ復活後、こんなにも頻繁に更新されりゅとは思ってもいませんでしたよ。
これからも執念でがんばってください(^_^)
ところで、9月にぼくは10歳になりゅます。
お祝いの電報とか送ってくれたら、紹介してあげますよ。
りゅうちゃんありがとう!ひさしぶりだね!
1年はあっというま。でもワラビーは自由にあそんでいるだけで、がんばって
ないよ!村井せんぱいや小林せんぱい、きろくがかりの人ががんばっているよ。
10さいももうすぐだね。りゅうちゃんもひげが生えたり声もかわったり
するのかな。もうすぐりゅうちゃんじゃなくなって、りゅうさんになるかも!
その次はりゅう氏、さいごはりゅうじいです!
ここまで書いて、村井せんぱいに「りゅう翁じゃない?」と言われました。
「りゅう翁」強そう!