一周回って「本物」を目指すんだワラビー(中編)
ネオパークオキナワ・パルマワラビーに会いに行く 編
前回からの続きです。
仲間のワラビーを探すため、名護市のネオパークオキナワにやってきたワラビーといきものがかり・村井規儀。おなじみコンビの前に、不思議な鳥が現れた。
(あんた仲間を探してるのか。クロトキから聞いているよ)
ワラビーは驚いた。「村井せんぱい、ワラビーは、ほかの動物の話が分かるようになりました!」
「ホントかよ。ドリトル先生じゃないんだから…」疑わしそうな村井。
(その前にオレはショウガ鳥じゃない。「カブトホロホロチョウ」だ。)
「ホロチョウです!」 モロキュウみたく言うな。
(あんたは鳥じゃない…4本足の生き物だ…だから…あれだ…同じ4本足の生き物に聞くといい…えっと…何だっけな…思いだせねえな) 記憶はボロボロなホロホロチョウ。(しょうがねえな。方向は合ってる。こっちへ進め。そして4本足の生き物を探せ)
「ハイ!」
「おいワラビー。本当に意味が分かるのかよ?」村井はけげんな顔だ。
続いてワラビーと村井は、飼育担当員の喜瀬碧子さんに連れられ、国際種保存研究センター(入場料・4歳以上300円)を訪れた。沖縄をはじめ、世界的にも希少な野生動物の保護と繁殖を研究する施設。傷ついた希少種が持ちこまれたりもするという。
そんなセンターの動物たちから、仲間のワラビーの情報を集めるタイムスのワラビー。
「ワラビーの仲まはどこ?」
(ちょっと前なら覚えちゃいるが…)一匹のカピバラがもごもごと答えた。
(一年前、いや、あんたに似てる動物は、チト分からないねえ…)隣のカピバラも続く。
「そうですか…」
「きっとワラビーみたいに耳が長くって、しっぽがあります!」
(耳の長い動物だって、ここにゃ沢山いるからねエ)
(悪いけどほかを当たってよ)
(ワラビーだって!?―ああ、あの娘ね。半年前にやって来たよ。マリのエサを取ったってサそりゃもう大さわぎだよ) マリって誰だ。
(知ってても教えないよ。仁義を欠いちゃ、ここにいられない、ってね。……ていうかアンタ、あの子の何なのさ!) 言っちゃったよ。
先ほどから、かたわらでワラビーの様子を見守っている村井。「どうだいワラビー。仲間の手掛かりはあったかい。あの動物たちは何を言ってるの」
「むずかしそうです!『アンタ、あの子の…何だっけ?』と言われました」 微妙に違うぞ。
「締まらないダウンタウン・ブギウギバンドだな」
―そこで、足元からワラビーを呼ぶ声が。
(オイ、オイ、オイ!)
(オイ、オイ!)
「ハッ!中尾あきらさんです!」
(ちがうわ!ところであんたからはクロトキの匂いがするね!クロトキには世話になったことがある…)
「クロトキ…ああ、パンダガラスさんですか?ワラビーが青魚をあげました!」
(…ワラビー?)しばし考え込むワオレムール。(それはあんたの名前かい?どこかで聞いた感じだね)
「そうです。ワラビーは動ぶつの種るいでもあるし、ワラビーの名前でもあるよ!」
顔を上げるワオレムール。(思いだした。このパークのどこかに、あんたの名前がついた場所があるはずだ)
「それは、ワラビーが有名だからにちがいない…」 ポジティブか。
(たぶんそこに、あんたの仲間…かどうかは分からないが、そういう名前の動物がわんさといたはずさ)
「ホント?ありがとう中尾さん!そういえば―おサルは四本足です!」 名前を間違うという、非礼なお礼を述べたワラビー。
ワラ「あつい…ハア、ハア」
村井「扇風機を独り占めすんなよワラビー」
ワラ「ピラニア!?…こわい!」
村井「違うよワラビー。ピラルクだよ」
ワラ「あっ!大きい!ピラ……ルク!」
村井「大きいね」
ワラ「あっ!ピラ……ルクのせいで水がはねました!」
村井「なかなか覚えないな『ピラルク』!」
※ちなみにパーク内ではピラルクを、水のトンネルから見上げることもできます。
「中尾さんの言う通りあったよ!『ワラビーの森』です!」 ドヤ顔の有袋類。
戸惑う村井。「中尾さんって誰だよ!」
「ようやく、仲間のワラビーと会えます!」気がはやるワラビー。森の奥へと進む。
「仲良くなれるといいけど。どこにいるんだろう」村井も辺りを見回した。
そのころ、森の奥では―。
ワラビーとワラビー、初対面の時は迫る!
一周回って「本物」を目指すんだワラビー(後編)へ続きます!明日も更新です!