一周回って「本物」を目指すんだワラビー(後編)
ネオパークオキナワ・パルマワラビーに会いに行く 編
前回からの続きです。
名護市のネオパークオキナワの最深部、「ワラビーの森」を訪れたタイムスのワラビー。
いきものがかり・村井規儀も猫なで声で、園内のワラビーを呼び寄せようとする。「お~い、ワラビー出ておいで~」
「いや、ワラビーじゃなくて本物の方ね」
「ワラビーだって本物です!」 ぷんすか怒る有袋類。
すると、この日コンビを案内してくれている飼育担当員の喜瀬碧子さんが、ワラビーのエサである草を辺りにまき始めた。食べ物でおびき寄せる作戦だ。
さらに、同園のパルマワラビーの習性について説明してくれた。「ワラビーは基本的に憶病なんです。オスはまだ好奇心がありますけどね。日中は日陰で休んで、夕方から活発になります。夜行性なんです」
「…ということなんだってさワラビー。ためになるね」
そうこうしている間に、喜瀬さんから声が上がった。「ワラビー来ましたよ」
大切なものはお袋・胃袋・育児嚢(のう) パルマワラビー(カンガルー科)
「ワラビーがいました!」パルマワラビーに近づき、息せき切ってしゃべりかけるワラビー。「こんにちは、ワラビーだよ!君と一しょ、君の仲まです!ワラビーはずっと、タイムスビルでひとりぼっちだったから、初めて仲まに会えて、うれしいよ!」
だが、パルマワラビーの反応は―。
「えっ」冷たい水を浴びせられたかのよう。息をのむワラビー。「だって、ワラビーも、君も、ワラビーです!」
(笑わせる。おれたちより図体もでかいし、頭だってひときわでかいじゃないか)
「頭の大きさ?…君の、5倍くらいです!」
(ホントに笑わせる。50倍はあるよ!) つごう50頭だった。
そこでパルマワラビーは、発達した後ろ足で軽やかに高い位置へ跳躍した。
悲痛な面持ちで、パルマワラビーの背中に声を掛けるワラビー。「ワラビーは、君やみんなに会うために、お仕事もがんばってきました。だから仲まになろう!」
(それはあんたの事情だろう。こっちは知ったこっちゃないさ。でも知らなくても分かることがある。おれたちとあんたは違う種だ)パルマワラビーは吐き捨てた。(『ワラビー』か。なあ、自称ワラビー…名乗れば何にでもなれるのか?そんな「素質」もないくせに?おれはそうとは思わない)
うなだれるワラビー。「ワラビーは、もともとワラビーです!…でも、同じワラビーに会ったことがありません。ねえ、ワラビーはどこから来たと思う?」
(お前のルーツなんて、それこそ知ったこっちゃないな。自分で見つけるしかないだろう。まあそのうち、どこかの博物館の片隅で、はく製になったご先祖様にでも出会えるんじゃないか。それも笑わせるな…フッ) パルマワラビーは息を漏らすと、そのままワラビーのもとを去った。
「ご先ぞさま…仲まにも会えないワラビーは、きっとご先ぞさまにも会えないに、ちがいない…」
そこでワラビーは、すこし泣いた。
いつのまにかパルマワラビーを手なずけていた村井。名実ともに「いきものがかり」化してきたぞ。
「おっ、どうしたワラビー。初めての仲間と、初恋の話とかした?草余ってるけど、食べる?」 のんきな村井。
「おい、どうしたんだよワラビー!」
「実は、かくかくしかじかです…」
「なるほどー。って『かくかくしかじか』ホントに言っちゃったよ!分かるか!」
「えっ、たくさんしゃべらなくても思いが伝わる、ふしぎなコトバだと思ってました!」
「ちゃんと話しなよ!」
(5分後)
「―ということです…」
「そうか。仲間を否定されたのか。…そうか。それは…残念だね」
楽しみにしていた分、落ちこみも激しいワラビー。
「何か、えっと、元気だしなよワラビー」掛ける言葉を懸命に探す村井。「きょうは大安なんだし…」 よりによってか。
「ハイ……」
その後訪れた「ふれあい広場」(4才以上一律 300円)でも―。
「わ、子犬の群れ!めっちゃかわいいよワラビー!」
「ハア…」ため息が漏れ続けるワラビー。
「ワラビー座っちゃダメ!それ、アルダブラゾウガメー!」 よく突っこめたな。
(こっち見てんじゃないわよ!)
傷心のワラビー。村井が積極的に話しかける。
「ほらワラビー、顔出しがあるよ!やってく!?」
「ワラビー!ワラビー!」
「助けてワラビー!ネオパークに捕まっちゃったよ!」
「…ウフッ」ワラビーの口から笑い声が漏れた。
「早く助けてよワラビー!みんなにジロジロ見られちゃうよ!」
「ウフフ!村井せんぱいが動ぶつみたいになった!ウフフアハハ!」 ワラビーに笑顔が戻った。「えさをあげないで、って書いてます!」
「エサをくれよワラビー。頼むよ~」
「ウフフアハハ!アハハハ!」
時には辛いことだってある。でも君のためにおどけてくれる人がいる。悲しくったって前を向くし、向かせてくれる人がいることを知るワラビーであった―。
~ワラビーからお知らせ~
今回、全面的に撮影に協力してもらったネオパークオキナワさん、本当にありがとうございました!
そんなネオパークオキナワさんは7月18日~8月31日、第20回夏休み子ども図画コンクールを開きます!
参加料300円で入園料込み、画用紙と動物のエサも付いて、とってもお得です!みんなで好きな鳥や動物を描きに来てね!パルマワラビーを、上手に描いてください!
また、同期間は世界のクワガタとカブトムシが大集合!「昆虫フェスティバル」も開催されます!入場料は入園料のほかに500円(4歳以上一律)だよ!見て、遊べて、学べる関連イベントもいっぱいです!
詳しくは同園のホームページをチェックしてね!
広い園内を歩き疲れたら、パーラー「バオバブ」のマンゴーかき氷(400円)がおすすめです!マンゴーどっさり!甘味と酸味と冷たさのビッグウェーブで疲れも忘れるよ!
「みんなで食べに来てね!」
なんかみんなワラビーに冷たいね。泣けてきちゃいました。きっといつか同じ仲間のワラビーに会えるからね!村井さんが一緒でよかったねー。マンゴーかき氷はおいしかった?
せっかく仲間に会えたと思ったら!!切ないですね。
きろくがかりさんは、毎日更新大変だと思いますが、読者としては毎日違うお話を読むことができて、うれしいかぎりです。ありがとうございます。
そして1周年おめでとうございます!
ワラビーと村井さん、きろくがかりさん、ネオパークに遊びに来てくれてありがとうございます!!
きっといつか・・・、ネオパークのパルマワラビーとも仲間になれると思いますよ。
動物たちと仲良くなれるとっておきの方法を準備しておきますので。笑。
また遊びに来てくださいね~。
ごまこさんありがとう!やさしいひとです!
村井せんぱいがいなければ、ワラビーはさびしすぎてやっていけなかったかも
しれません。あと、マンゴーかき氷が甘くてつめたくて、一気に食べようと
したら、頭がいたくなりました。でも、その頭がいたくなった時も、ひととき
さびしさを忘れられました! さびしいひとにはかき氷がおすすめです!
ヒロコさんありがとう!
ワラビーはずっと、自分がどこから来たのかが知りたいのです。ヒントが見つかると
思ったのに、ざん念です!
きろくがかりの人はワラビーに「もっといろんな所へ行きたいよね」とよく言います。
ワラビーもそのつもりです!これからも見ててください!
ぺきこさんです!お世話になりました!
ワラビーじゃないワラビーとは友だちになれなかったけど、ネオパークではパンダガラスさん
とか、いろんな動ぶつとお話しできて楽しかったです!思ってたいじょうに動ぶつたちが
いっぱいでした!マンゴーかき氷もおいしかったです!
みんなと仲よくなれるとっておきの方法…たのしみです!
きっととろけて、甘くて、ほっぺが落ちる感じのエサにちがいない…。また行きます!