増殖する守護神もいたんだワラビー
県警シーサー君壮行会 編
晴れ渡った夏空の下、県内のゆるキャラたちが多数集められていた。
そんな中、紹介されたのはこの日の主役たちだ。県警のマスコットキャラクター「シーサー君」。従来は「ニライ君」「カナイ君」の2体だったが、新たに「ミヤコ君」と「ヤイマ君」が仲間入りしたのである。西部警察風に言うと「軍団入り」であろうか。
通常は警察行事やイベントで広報活動に当たっているシーサー君。このほど宮古島、八重山各警察署への配置が決まったのだ。
宮古島では「宮古島まもる君」、
そして八重山では環境省キャラクター「まーや」ら、現地のキャラクターと連携しながら活動していくという。八重山ではネコ科で「相棒」を組ませるらしい。
式典では県警の加藤達也本部長からミヤコ君、ヤイマ君へ辞令が手渡された。
「離島住民のみなさまの強い要望を受け、辞令を交付します。日給としてペットフ-ド20キロを給します」 ペットかよシーサー君。
それでもシーサー君2匹は「ハイ!」「ハイ!」と誇らしげに辞令を受け取った。
さらに、2匹でハキハキと決意表明を述べた。「よい子のみんなの期待と信頼に応えるため、宮古島、八重山で愛されるシーサー君になるように頑張ります!」
会場に招かれた幼稚園児からも激励の拍手が起こる。「がんばれ!」「がんばって!」
―2匹のシーサー君はやる気を胸に、赴任地の宮古島、八重山へ飛び立ったのであった。31日には現地で着任。各地のイベントなどで活動していく。「がんばります!」
…。
……。
………みなさん、私たちは何か忘れていないだろうか。
「ハア、ハア……かんぜんに、ちこくです!」 やっと出た久茂地の有袋類・ワラビー。
ワラビー直属の上司、小林剛(経営企画室主任)が苦言を呈した。「お前このままだと、この回の記事は『シーサー君ブログ』~県警のマスコット、シーサー君の刑事物語・くろしおの詩in先島~になってるぞ」 懐かしいなハンガーヌンチャク。
「よく分からないけど、主やく交代のピンチです!」 焦るワラビー。
「そもそも俺たちは10分前には県警に到着していたのに、お前が、一般公開されている警察資料館へ行きたい、と言い出して―」小林が振り返りだす。
~回想~
ワラ「小林せんぱい、ここに入りたい!事件のにおいがします!」
ワラ「制ふくがいっぱい!」
ワラ「音がくたいの衣しょうは、はでです!」
小林「何だその色つながりは。ていうかワラビー、そろそろ入り口でシーサー君の壮行会が始まるぞ」
ワラ「しかし、白バイもワラビーにのられたいにちがいない…」
小林「お前の擬人法はいつも自分本位なんだよ!」
ワラ「ちょっとのってみて、ムリだったらあきらめます!」
小林「(多分無理だしな)…じゃあ、試してよし」
小林「乗れちゃったよ!」
ワラ「違はんは、どんどん取りしきるよ!」
ワラ「それです!」
~回想終わり~
「―とかやってるから遅れるんだ。急げ。式典は始まっている」
結局、何とか終了後の写真撮影には間に合ったワラビー。「ハイ、チーズ!」
その様子を遠巻きに眺める小林。(ワラビーも広報担当2年目だっていうのに、まだまだ自覚が足りねえな)
(―ひょっとして、上司の俺が至らないのか?…でも、のびのびしているのは、あいつの長所でもあるしな。部下を育てるのは、難しいな) 悩みは尽きないようだ。
会場内は、ゆるキャラと子どもたちのふれ合いの時間になった。白バイの上で式典をスルーした有袋類も、シーサー君の激励へ向かった。
「ミヤコ君、がんばってね!」
「ありがとうワラビー。でも僕はカナイ君サー」
今度はほど近くにいたシーサー君に声を掛けたワラビー。「ミヤコ君?それともヤイマ君?…とにかく、ファイトです!」
「あれれワラビー、僕はニライ君サー」
「またちがいます!…みんな同じかおで、だれがだれだか、分かりません!」
誰もツッコめなかったことをツッコむ有袋類。
悩める有袋類は、県警のシーサーのもとへ向かった。
「しょうがないので、このシーサーをはげまします!みやこ、やえ山に行っても、がんばってね!」 何でだ。
かたわらにやって来た小林。「『しょうがないので』とか言わず、ミヤコ君とヤイマ君を探せよワラビー」
「県けいのシーサーということでは、このシーサーもシーサー君の仲まです!きっと伝わります!」
小林は苦笑した。「…そんなもんなのか」
「そうです!」 自信たっぷりのワラビー。
確かに、何でシーサー君はみんな同じ顔なんだ。きっと県警関係者もそんな疑問を持っているんじゃないか、と勘繰る小林であった―。
~おまけ~
ワラビーとQごろ~
写真撮影から途中参加したワラビーと隣になったのは、琉球朝日放送(QAB)のゆるキャラ、Qごろ~。
「Qごろ~、ワラビーはちこくしちゃったよ」
「あとで小林せんぱいがこっぴどく怒るにちがいない…ゆううつです!」
「…きゅ~ん!」 「心にQ~んと!」がキャッチフレーズのQAB。Qごろ~も「きゅ~ん」としか鳴けないのだ。
「…くじけそうなワラビーには、『きゅ~ん』いがいにも、コメントがほしいところです!」 勝手なことを言う有袋類。「でも、さっきからこれが気になる…アンテナかな」
Qごろ~の頭上の突起を動かすワラビー。ジョイスティックかよ。
「きゅ~ん!」
「まえやうしろにうごきます!ウフフフ!」
そこで、Qごろ~に異変が起こった。
「きゅ~ん!」
「キャッ!Qごろ~がのびました!バボちゃんです!」 「バボちゃん」言うな。
「きゅ~ん!きゅ~ん!」
とりあえず謝るワラビー。「のびるほど怒ったの?ごめんなさい…」
ー遠くから見ていた小林。(あいつら何やってんだ…仕事しろ!)
~ワラビーからお知らせ~
8月9日(日)にタイムスビルである「ワラビーまつりin那覇」、午後3時からの「ゆるキャラパーティー」にはシーサー君もやってきます!みんなも会いに来てね!