君よ真夏の華となるんだワラビー 後編の前編
2015ワラビーまつりin那覇 編
前回からの続きです。
ワラビーが主役のタイムスのファン感謝祭「ワラビーまつりin那覇」の最中に、謎の言葉「1.1」を残し、姿を消したいきものがかり・村井規儀。
「―村井せんぱい、どこへ行ったの?」 タイムスビル内で捜索を始めたワラビー。吹き抜けに悲痛な声がこだまする。
だが、いきものがかりの姿は見当たらない。途方に暮れ、窓の外を見上げるワラビー。
「村井せんぱい、ワラビーだけだと、まつりの楽しさは四しゃ五入どころか、切りすてです!」 算数の用語を雰囲気だけで使う有袋類。
「村井せんぱいが…いや、子どもたちにはカンケイないことです!ワラビーはひとりでもがんばるよ!これが『忍ぽう空げんき』です!」 何だその忍法。
1階エントランスでは昨年に引き続き、球を使ったパフォーマンスでおなじみの大道芸人「たまんちゅ」さんが、華麗なジャグリングで盛り上げ中。息をのむ実演がひと区切りひと区切りを迎えるたび、ギャラリーからは大きな歓声と拍手がわいていた。
同時刻、いきものがかり捜索中のワラビーは、上司の小林剛(経営企画室主任)と出会った。
「何だワラビー。俺は今日、分単位でやることがあるんだ」 小林はワラビーまつり全体を統括するポジションなのだ。「話なら歩きながら聞いてやる」
「さすがです!ワラビーは毎日、その日やることからのんびりさがすのに…」
「歩くスローライフめ」小林は吐きすて、先をうながした。「早く用件を言え」
「村井せんぱいが、どこかから落ちたらしくて、ケガしたっぽくて、でも見つからないんです!」 悲鳴にも近い声を上げる有袋類。
「何」 小林は足を止めた。「でもこのビルからは出ていないはずだ。編集局に上がってからそう時間は経ってないし」
「出たのか」
「出たけど、切れちゃった…どこにいるの?って言ったら『落ちてごめん』『1.1』としか言わなかったよ!」
「落ちてごめん、と、1.1…」小林はしばらく考えたのち、軽く笑った。「ふっ」
「小林せんぱい、村井せんぱいのいる所がわかったの?」
「消去法だ。このビルで『落ちる』ことが可能な場所は非常階段しかない。エレベーターが落ちたり、人がテラスから落ちたりすると大惨事だし、だいいち村井は『落ちて』、その後に電話に出ている。つまり『その程度』の落ち方だったという事だ」
「じゃあ、じゃあ、1.1は?」
「村井が見たとして、階段にある数字と言えば階数表示だ。1.1から村井がいる階数が分かる。……恐らく、踊り場にいるだろうな」
「何階と何階のおどり場にいるの?」
「ワラビー、俺はもう行く。大事ないきものがかりを救うために、たまには自分で考えてみろ」小林は突き放した。「それと、きょうのメーンイベント『ゆるキャラパーティー』があと5分で始まるぞ。優先すべきはそこだ。いいな」
「でも村井せんぱいが…」
「お前は主役なんだ。いきものがかりならこんな時、お前にどう振る舞ってほしいか、よく考えて動け。分かったな」 そう言い残して、小林は去っていった。
ビル3階タイムスホール、午後3時―。
「ゆるキャラパーティー、開幕でーす!」
司会の合図とともに、ゆるキャラパーティーが華々しく幕を開けた。県内のゆるキャラが続々とホール舞台上に集結するのだ。
まずはうるま市の伝統神ウルマーがワラビーまつりに降臨した。「やあみんな!」
HEROといっても肝高(キムタカ)の方 うるま市の伝統神 ウルマー
ヘルメットは阿麻和利(15世紀の勝連半島の英雄)のかぶと、プロテクターは闘牛をイメージしたという。あいさつ代わりのウルマ―ダンスで会場をわかせた気さくなヒーローである。
次いで、パイナップル生産量日本一の東村から飛来してきたノグパー。国の特別天然記念物で、やんばる地域にしか生息しないノグチゲラとパインをイメージしたという大胆設定だ。
東村フェアでいじりたかった「そのまますぎる」ネーミング キツツキとパインのハイブリッド(チャンプルー) ノグパー
「こんにちパー!」
「違うパー!ノグパーは東村のパインの美味しさを世界へ伝えるために、この羽ではばたくパー!」
「世界征服かっ!」 小競り合う伝統神とキツツキ。
続いて、ワラビーとの友情を胸に、ワラビーまつり参加の約束を果たそうと、北中城村からやって来たゆるキャラたちが―。
「おいーっす!!ひまわり大好き!お祭り大好き!おいら”北の”―」
「はいたぁーい!”中”ゆくりんだよ!」
「ぱったぁ~ん!!どもどもっ!”城”まーいだよー♪」
北中城村が誇る、妖精界からのワーキングホリデー軍団 (左から) ”北の”ぺーちん ”中”ゆくりん ”城”まーい
「おいおい、ゆくりん、まーい、おいら最後までしゃべってないぜ!!自己紹介がうまくいかないと、イベントのすべり出しが気持ち悪いぜ!」
「ぺーちんはいつもしゃべりすぎなのよ!こういうのは公平が大事なんだからね!」 正義感が強く、しっかり者のゆくりん。
「何でも限度を超えると健康に悪いよ~♪」 おっとりして、健康マニアのまーい。女性長寿日本一の村を陰ながら支える存在だ。
その時、会場にふわり漂った花の香。次いで、かぼそい声が聞こえてきた。「はじめまして~」
頭上にサワフジ(サガリバナ)とブーゲンビリアを咲かせる華やかないでたちだが、生まれながらの恥ずかしがり屋。西原町のゆるキャラ、さわりんがおずおずと舞台前方へ進み出た。
健康マニアのまーいがひと言もらした。「見てるだけで視力が良くなりそうな、きれいなグリーンだよね~♪」
「きれいだなんてはずかしいなあ!」赤面するさわりん。「…でも日記につけよう。うれしかったから…」
「え?ふつうの人は光合成できないの?」 緑のリアルエコキュート さわりん
次いで県内ではおなじみのホームセンター「メイクマン」のキャラクター「メイキーくん」が登場。元気さをアピールした。
NO DIY,NO LIFE.「全県民よ、その手に工具を」 メイキーくん
ゆるキャラがどんどん舞台へ出ていく中、袖に控えたワラビーは悩んでいた―。
「ワラビーは村井せんぱいを探さずに、パーティーをいわっていいのかな?」
一方そのころ、いきものがかり・村井は―。
「君よ真夏の華となるんだワラビー 後編の後編」に続きます!
~ワラビーブログスタッフよりお知らせ~
すいません。ゆるキャラが盛りだくさんすぎて、前中後編では終われませんでした。
次回こそ「ワラビーまつりin那覇」編が完結!29日(土)までには更新予定です!お楽しみに!