最北端で踏ん張って押し戻してワラビー
国頭村観光と物産・芸能フェア 編
沖縄タイムスのふるさと元気応援企画「森と水とやすらぎの里 国頭村観光・物産と芸能フェア」が2日、那覇市久茂地のタイムスビルで開幕した。4日まで。
県最北端に位置する国頭村は、県民には「やんばる(山原)」の愛称で呼ばれる。その大部分が亜熱帯照葉樹林で覆われ、ヤンバルクイナやノグチゲラなど、国の天然記念物に指定されている貴重な動植物が生息する、自然の楽園だ。
ビル1階には村特産のシークヮーサーなどかんきつ類のフレッシュな香りが漂った。シメジや紅イモなど村内の野菜や、ソデイカなど海産物加工品、椿油を加工した化粧品などがずらりと並んだ。
そんなフレッシュな香りに誘われ、フェア会場に迷い込んできた有袋類が1匹。
「きょうはタイムスビルの中がフレッシュなかんじです!トイレのあれか、台所の…あれみたいな香りです!」 代名詞しか出てこず、脳細胞の鮮度が疑わしいワラビー。
さっそく香りのもとをたどると、JAおきなわ国頭支店のブースへ。シークヮーサーとカーブチー、温州みかんがディスプレイされていた。
ワラビーの相手をしてくれたのは大城道生さん。「これらはまだ青果だけど、刺身などにしぼると最高だよワラビー」
「大しろさん、甘いジュースはないの?」
「ジュースに使う分は12月から1月にかけて手もぎで収穫するよ。国頭の産地は名護近辺より高地にあるので、より寒暖の差があっておいしくなると言われているんだ」
「差がはげしいほうがいいんですか?」
「ワラビーは甘いだけでいいです!甘くないやつは、子どもたちにあげます!ハイ!」 ひでえな。
今年の全国木材フェアで「木目の美しさ№1」に選ばれたリュウキュウマツの板材そのものも販売している。
「プレミアだよ!木目をよく見て!」 半目の動物に言われても。
「木目のよしあしは、人のかおに見えるかどうかで分かります…」 心霊写真か。
さらに森林組合のお勧めは、ヤンバルクイナのパッケージもかわいい「からぎ茶」。「からぎ」はシナモン。ミネラルや鉄分、カルシウムも豊富に含まれているという。
森林組合に関連して、村では材木の余った部分(端材)を生かした工芸品「やんばるクラフト」作りも始まっている。
「材料は製材所では使い物にならないリュウキュウマツや、それ以外の木材だよ。これらを隅から隅まで生かしていこうという取り組みだよワラビー」 研修生の野田洋さんが教えてくれた。
「家づくりにはつかえない木材も、お皿やおはしになるんですね!」
「いまは木材の乾燥の程度など試行錯誤中なので、注文から半年ほどかかるんだ」
「ワラビーは、時間だけはいっぱいあまっています!ぜんぜん待てるよ!」 やんばるクラフトのように、余った物(時間)を生かさないのか。経験から教訓を得ない有袋類。
そこで偶然、会場内を歩いていた宮城久和村長と出会ったワラビー。
「ありがとうワラビー。会場内にやんばるの魅力がいっぱい詰まっているよ。ここで物産を買い求めて、今度はやんばるにもおいで頂きたいね」 にっこり笑う宮城村長。
さて、次はお待ちかねグルメコーナー。初日の2日に300食が完売したという二刀流丼(イノブタ丼)500円である。
通常は国頭村観光物産が経営する「道の駅 ゆいゆい国頭」内「レストランくいな」で提供している。「二刀流」はリュウキュウイノシシと黒豚を掛け合わせた「イノブタ」とともに、プロ野球日本ハムの投手で野手、大谷翔平選手にちなんだもの。国頭村は日ハム二軍のキャンプ地なのだ。
同社の総務統括、田場聡さんがワラビーに食べさせてくれた。
「どうぞワラビー」
「イノブタは初めて食べます!…ハッ!ラフテーよりもやわらかくなく、ジャーキーよりもかたくない!おいしいです!」 食感だけかよ。
「何だその食レポ…」あきれる田場さん。「イノブタは豚肉より低脂肪。くせが無くて食べやすいんだ。かむほどに肉の味わいもある」
「それです!」 乗っかることだけうまいワラビー。
ほかにも2階ギャラリーには子どもに大人気!「木のタマゴプール」が設置された。
「…ワラビーがあたためたら、ヒナが生まれる?」
「生まれないよ」「うまれないよ!」 子どもも含め、失笑は生まれたぞワラビー。
また、「MY箸づくり体験」や、
「オリジナルコスメ体験」も楽しめる。
「ワラビーだけの化しょう水ができました!村井せんぱいをうるおします!」
「ワラビー、うるおしに行く前にエプロン返してね」
ひとまず会場をぐるりと回ったワラビー。「次はどこへ行こう…そうです!」 何かを思いついたようだ。
会場裏にやって来た有袋類。「ワラビーの車庫に来るのは、久しぶりです!」
まさか。
「ワラビーベンツで、やんばるをドライブするよ!」
2度出るものは3度出る スケルトンすぎるじゃじゃ馬 ワラビーベンツMクラス
「ワラビーはやんばるに行ったことがないので、ワラビーベンツでくにがみフェアをドライブして、やんばる気分にひたります!」 勝手なことをペラペラとしゃべる有袋類。「…いざ出ぱつです!」
フェアは結構な人手。その間を縫ってスケボーのよう、台車を進めるワラビー。
「ミカンの香りがやんばるってかんじです!。甘からい、牛どんのような香りもします!」 きっと先ほどのイノブタ丼だ。「…よしのや、ってかんじです!」 国頭関係なくなったぞ。
楽しくベンツを操るワラビーだったが、やんばるドライブで最も注意すべき点に気づいていなかったー。「あっ、ちょっとはやいです!」
―そして、時は来たれり。
「ハッ!しまった!やんばるドライブで、クイナをひいてしまいました!」ついに事故った有袋類。
「…………」
「……なにするやん、ワラビ~!」ようやくしゃべったヤンバルクイナ。ずいぶんおっとりしているようだ。
「ごめんね、いたくなかった?」
「大じょうぶ大じょうぶ…あれ待って、痛い!痛みが遅れてきた!いたいやん!」
国頭ノンフライヤーズ(飛べない鳥)2号 反応が衛星中継 く~やん(ゆるさ担当)
「ごめんねく~やん、見切り発しゃで前方不ちゅう意だったよ!」 最悪だな。
「気をつけるやん!安全運転で、いつでも止まれるように心がけるやん!」やさしく注意するく~やん。
「ハイ…」 しょげる有袋類。
その3分後。こりないワラビーは―。
「ここは見通しもいいし、スピードを出しても大じょうぶです!」
「ワラビー!!」
「あっ!女の子です!あぶない!」
―ゴチン!!
「あっ!何するんだキョン!!」
「こんな人がいる所で、そんなものに乗って遊ぶなんて、許せないキョン!」
「あっ!クイクイです!」
国頭ノンフライヤーズ1号 何てったって県民のアイ鳥(ドリ) キョンキョン(リアル担当)
「こんな運転が、キョンキョンの仲間をケガさせるキョン!こいつ!こいつ!」
「キョンキョンごめんなさい!もうしないよ!(でも羽ねだから、そんなにいたくありません!)」
「絶対だキョン!森の仲間たちを大切にするキョン!なぜなら、森の仲間たちこそがやんばるの魅力そのものだキョン!」
ワラビーも約束した。「分かりました!もう危けんな運てんはしないよ!(でも羽ねだから、いたくない…)」 ちゃんと反省しろや。
そんなこんなで、ようやくキョンキョンから解放されたワラビー。
「ひどい目にあいました!さいごにワラビーベンツに、ちょっとだけのって帰ろう…あっ!」 バランスを崩しー、
「いたい!ワラビーのはながいたい!…もう、車はこわいです!」
鼻がヤンバルクイナのくちばしのよう、真っ赤に染まってしまったワラビー。森の仲間たちに、最後の最後で少しは共感できた、ほろ苦い国頭フェアであった―。
~ワラビーからお知らせ~
ふるさと元気応援企画・国頭村の観光・物産と芸能フェアはあす4日10時から17時まで、那覇市久茂地のタイムスビルでやってます!
村の特産品が勢ぞろい!おいしいイノブタ丼や、鶏そばも待っています!2階ギャラリーでは体験型イベントも楽しめます!
そして3階ホールでは国頭がロケ地の映画「やんばるキョ!キョ!キョ!」を無料上映。監督を務めたガレッジセール・ゴリさんが自ら映画を紹介するよ(最終回のみ)!
上映時間は13:30、15:00、16:20の3回、映画は30分です!