久米島町　観光・物産と芸能フェア　編

　前回からの続きです。

 

　那覇市久茂地のタイムスビルで始まった久米島町フェアで、1年ぶりの再会を果たしたワラビーと、同町観光協会のゆるキャラ、く～みん（ホタル）。

　「久米島の手つかずの自然はもちろんいいけど、たまの那覇も刺激があっていいよねぇ～♪♪」　く～みんが声をはずませた。ひとみもキラッキラだ。

　「えっ？ワラビーがすむこの大とかい、なはのこと？」　ドヤ顔の有袋類。

　「そう。ラグジュアリーなお店も多いし♪♪」

　「ラグジュアリ？はたらきアリのこと？」

　「もうワラビーったら♫♪女性が好む言葉ぐらい覚えておいてね…『ラグジュアリー』と『コスパ』よ♫」

　「ほほう、コスパ…」　この先使うこともなさげな言葉で、脳みそのしわを増やした有袋類。

 

　サイヤ人級の女子力を持つく～みんと別れ、ワラビーは2階ギャラリーにやってきた。「あっ、このこまかい手しごとは…くめじまつむぎです！」

　前回に引き続き、久米島紬事業協同組合が出店。着付け体験や織り体験も実施中だ。

 

　「きょ年はく～みんと、つむぎをきました！」

　

　　今年も国指定の重要無形文化財、長く愛され長く着られる久米島紬が多数展示されている。

　「ワラビー、今年はこの布とかどうかな」

　「小がおに見えるやつがいいです！」　しつこいな。

 

　さらに2階ギャラリーでは、アニメ映画監督の宮崎駿さんが島内に建設を呼び掛けた子どもの交流施設「風の帰る森」のプロジェクト展も開催。２年以内の開所を目指す同施設。先行グッズとして、リュウキュウコノハズクをモチーフにしたキャラクター「てぃーびぃ」のＴシャツを販売している。

　児童館や図書館など、久米島の美しい自然をバックグラウンドに、宮崎さんが思い描いた「風の帰る森」。落成が待ち遠しい。

 

　「ウフフ…てぃーびぃは、おもしろいかおです！」　面白い顔なら鏡を見たらいいのに。

　町も施設のデザインをまちづくりに取り入れる方針。すでに宮崎さん自身による町営バスのデザインも完成している。

 

　毎回大好評の芸能公演は地元の中高校生による現代版組踊「月光の按司　笠末若茶良（がさしわかちゃら）」だ。若さあふれるエネルギッシュな演技に注目である。

　「写しんを見てると、きたいが高まります！」

　するとそこに、イベントを統括する経営企画室主任の小林剛が現れた。

　「どうだワラビー。ちゃんとレポートしてるか」

　「えっと、ぼちぼちです！」

　「エセ関西人か。もちろん、この組踊の読み方はバッチリだよな」

　「えっと…えっと…すずかけ…なんちゃらです！」

　「バカ。『がさしわかちゃら』だ！久米島の民衆に慕われた青年王族の物語だ。いきものがかりの村井が新年号取材で多忙なんだから、ピンでやる自覚を持て」

　「ハイ…」　毎度何かしら怒られる有袋類である。

 

　一方、そのころく～みんは、フェア会場からガラスのドア一枚へだてた、タイムスビル１階の高級洋菓子店、エーデルワイス沖縄を冷やかしていた。所狭しとスイーツが並ぶ店内。クリスマスも近いため、赤やゴールドのデコレーションも華やかだ。

　「これこれ、これがラグジュアリーだよ～♪♫」　もうＯＬにしか見えないく～みん。

　「ケーキって小さくても、甘さとかわいさがぎゅっとつまっていて、見ているだけでも楽しい♪」

　「ヒラミレモンや♫、紅イモのパウンドケーキもいいけど♪、ここは生のフルーツがどっさり入ったタルトが…キャッ！」く～みんが軽い悲鳴を上げた。

　く～「…ワラビー！？」　トランペットにあこがれる少年か。

 

　「く～みんだけ、ずるい！ワラビーのスイーツ好きは海よう深そう水…」　久米島に寄せたコメントも意味不明に終わった有袋類。

　「あはは♫ごめんねぇ～♪♪一緒に見ようワラビー」

　「ハイ！」

　「冬はみかんもイチゴもおいしいよねぇ～♪♫♫」

　「ワラビーは、リンゴのシャクシャクもすてがたいです！」　お前らフェア戻れや。

 

　さらに１時間後。２階の廊下からふと、１階の様子を眺めたワラビー。

　「あっ、く～みんがまた光っています！」

　ホタルのく～みんが昨年に続き、またもや発光した。

　再び、光の点滅でワラビーにメッセージを伝えようとしているようだ。

　ワラビーが光の点滅を読み取っていく。

　「えっと…『く～みんは』『いしゃに』『行ってくるね』…たいへん！やっぱりく～みんはおなかがいたかったんだ！ひとりでお医しゃさんのとこ、行けるかな？」あせりだす有袋類。

　く～みんはくるりとまわり、ビル玄関から久茂地の街へ歩き出した。

　「大とかい・なはでまよったらたいへんです！ワラビーもついていこう…」あわてて後を追うワラビー。

 

　「く～みん！」横断歩道を渡ったところで追いついた。「ワラビーも行くよ！」

　「あれ♫どうしたのワラビー♫♪」目をぱちぱちさせるく～みん。

　「ハア、ハア…おなかもいたいのに、ひとりでお医しゃさんのところに行くのはあぶないよ！」

　「く～みんは、おなかもいたくないし、医者のところにも行かないよぉ～♪♫♫」

　「あれ、だってさっき、光の通しんで、く～みんは、医しゃに行くって…？」

　「ああ～♫♪」納得したようなく～みん。「さっきは『く～みん歯医者に行ってくるね♪』って伝えたの♪ほら」

　く～みんは顔を上げ、ビル二階の看板を指し示す。

　「あそこの歯医者だよぉ～ワラビー♪　矯正歯科とホワイトニングに興味があって。歯並びは大事だし、やっぱり白い歯ってステキだよね～♪♪♪」　ついに女子力がビッグバンを起こしたく～みん。

　　「なんだ！ワラビーは、体ちょうがわるいと思って、心ぱいしました！」

　「あはは♪♫ごめんねぇ～ワラビー♫く～みんは、こんなに元気だよぉ～」

　そう言うと、手をひらひらさせて、かわいく歩き出すく～みん。

　「ハッ！ワラビーもかわいさをぬすみます！」

　女子力が高すぎるく～みんに、今回も振り回されっぱなしだったワラビー。球美の島の美意識の高さを身をもって感じた久米島フェアであったー。

 

　～ワラビーからお知らせ～

　久米島フェアは１２日（土）、１３日（日）もタイムスビルでやってます！

　久米島紬ブースでは織り、着付け、各体験コーナーも楽しめます！

　１２日、１３日の各午後３～４時はお子様対象の車エビ釣りイベントも実施！

　毎回大好評の芸能公演は地元の中高校生による現代版組踊「月光の按司　笠末若茶良（がさしわかちゃら）」です。

　１２日は午後４時半～　１３日は午前１１時～、午後２時～の計３回公演だよ！

　みんなで来て、久米島の魅力と活力を体感してね！

　１２日の会場では、久米島紬観光レディーの佐藤祐子さんもさわやかな笑顔でお出迎え！運が良ければみそクッキーをもらえるかも！

　「たくさんの来場を待ってます！」