籠球(ろうきゅう)する準備はできていたのかワラビー
琉球ゴールデンキングス 沖縄タイムスゲーム 編
1月30日。氷雨に濡れそぼる沖縄市民体育館前、午後5時すぎー。悪天候にもかかわらず、そこには長蛇の列が伸びていた。
観客を待つバスケットボールコート。ウォーミングアップする選手のドリブルの音、シュートがネットを揺らす音が、やけに大きく聞こえてくる。
沖縄タイムスがスポンサードする、プロバスケットボールtkbjリーグ・「琉球ゴールデンキングス」VS「大分・愛媛ヒートデビルズ」がこの後、ティップオフを迎えるのだ。
―そして、コートのかたわらには「…保護色?なにそれ」的な、謎のハデハデな生き物(?)がたたずんでいた。
さて、開場時間の5時半が訪れた。ドアオープンと同時に、自由席チケットを持つ観客だろうか、いい席を確保しようと、どっと流れ込んできた。
そして、「沖縄タイムスゲーム」ということで、われらが有袋類も観客をお出迎え。
「ワラビーだよ!ようこそキングスホームゲームへ!日本ごにしたらきっと…王さまゲームです!」 合コンかよ。
―だが、急ぎ足の来場者に、かまってもらえないワラビー。
親子連れもせわしなく通り過ぎた。「お母さん、はやくはやく!」
「さみしい…人はたくさんいても、心がかよいません!」すねちゃったよ。
(だれかにかまってもらおう…ハッ!巨大なアザラシです!こわい!) 自分の頭部もたいがい巨大なくせに、思わずびくっとした有袋類。
ちなみに2匹は海上保安庁のマスコットキャラクター、「うみまる」(右)と「う~みん」。この日のハーフタイムイベントは「ゆるキャラ大集合」。うみまるとう~みんもワラビーと同じく、キングスのホームゲームを盛り上げるためにやって来てくれたのだ。
(こわいです!あの2ひきとは、一定のきょりをとって話すことにしよう…)恋か。
土曜の夜、スタジアムに足を運ぶ人、人、人。誰もがエキサイティングな週末を期待し、それぞれの顔には高揚感があふれている。
途切れない人の波に、ワラビーも興奮。「沖なわ市も、ワラビーがすむ大とかい・なはに負けない人の多さです!みんな楽しんでね!」
また、沖縄タイムスブースでは初の試みとなる「最終スコア&キングス得点王当てクイズ」を実施。的中者にはキングスレプリカユニホームやワラビーグッズがプレゼントされるのだ。
沖縄市の販売店主も呼び込みに協力し、大勢の来場者が参加してくれた。ゲームの興奮が紙面でよみがえる、翌日のタイムス朝刊の無料お試し読みも受け付けた。(※一週間無料試読は常時受付中です!)
試合開始前のアトラクションとして、「勝手に沖縄健康長寿大使」ごっちゃん(58)が登場。「ごっちゃんエクササイズ」を踊り、場を温めるという。
すると、いつのまにかコートに現れた「勝手に便乗長寿大使」ことワラビーも元気よく続いた。「はじまります!」
♪GO GO GO GO ごっちゃんエクササイズ おじいもおばあも ごっちゃんエクササイズ♪
何だかんだで3度目のコラボ。すっかり「ごっちゃんエクササイズ」をマスターした有袋類である。
踊りを終え、控室に引き上げる2匹。
ごっ「いや~、ワラビーはだいぶ、おどれるようになったサー」
ワラ「もうおぼえました!」
ワラ「そうです…胃ぶくろも、エクササイズしてるのにサー!」
ごっ「ワラビーそれ、ただ食ってるだけサー!」 思わずツッコむごっちゃん。
午後7時を前に、沖縄タイムス編集局長の武富和彦取締役より、審判へ試合球が手渡された。
派手な音ときらめく光の演出の中、キングスの選手がアナウンスとともに入場してくる。そこは非日常のワクワク空間だ。
先発メンバーの「スターティングファイブ」はダンサーズの花道の中を登場。この光景に「いつか俺も…」と憧れるバスケットボール少年は多いのではないか。
キングスは第1Q(クォーター)こそ大分・愛媛に先行を許したものの、Q終了間際にアンソニー・マクヘンリーのブザービーターで24-24の同点に追いついた。勢いもそのままに、第2Qからは優位に試合を展開。
タイムアウトの合間にはキングスガールがコートに飛び出し、会場を巻き込んでの「GO!GO!キングス!」「GO!GO!キングス!」コール。この一体感は、なかなか日常では味わえないであろう。
「何て言ってるか分からないけど…ワラビーも声えんをおくります!ちょう…ごう…きん?ちょう…合金?…ちょう合金!ちょう合金!」 合体ロボかよ。
ゲームは、流れが悪い時間帯に速攻や3点弾で盛り立てた金城茂之や、この日チーム最多の28得点のうち24点が3Pと長距離砲がさえた喜多川修平らの活躍で、終わってみれば101-80でキングスが勝利を飾った。
「やった!キングスかちました!」キングスガールズと喜びを分かち合う有袋類。
今季最多の3746人の観客に、100点ゲームで応えたキングス。南の強豪の地力を見せつけた。
試合終了後、MVPに輝いた喜多川選手には、再びタイムスの武富取締役から賞品の金券が贈呈された。
しかし、ワラビーにとってこのゲームのハイライトは、ハーフタイムにあったー。
そう、「ゆるキャラ大集合」。与えられたメニューは、フリースロー対決である。コート上にずらり集められた総勢12体のゆるキャラたち。
中でもひときわ目を引くのが、先ほどの派手な生き物。ワラビーに話しかけてきた。
「HI,ワラビー、僕はゴーディ―です!アイム グラッド トゥ シーユー!」
「シーユ―?…ハッ!これは英ごにちがいない…イエス!ユーシーシー!」 あいさつを炭焼き色に染めた有袋類。
「HAHAHA!ワラビーはユニークです!…僕はアメリカ生まれ、沖縄育ち。去年キングスとマスコットの契約を結んだバスケットボールの妖精さ。今日はワラビーがゆるキャラ仲間を紹介してくれると聞いて、楽しみにしていたんです!」
ボールの縫い目が色の変わり目 年俸制パッチワーク ゴーディー(妖精)
「ゴーディーは、パーマ屋さんのそばにいそうです!」
「NOワラビー!僕はカットハウスのそばでクルクル回ってないよ!」
「ワラビーの大きな目はゴーディーを見てるとチカチカするから、『メチカ』って呼んでいい?」
「OH!元の『ゴーディー』の要素、リトルもないですよワラビー!」慌てる妖精。「…まあいいです。これからフリースロー対決で、ゴーディーチームと、ワラビーチームで勝負します。もしそちらが勝てば、ゴーディーのこと、好きに呼んでいいですよ」
「じゃあワラビーのことも、ワラビーさんって呼んでいいよ!」 ずっこいな。
「OH!機会の不平等!とにかく負けませんよワラビー!」
「分かりました!」
~フリースロー対決ダイジェスト~
海保のうみまるが決めた。
一方、ゴーディーチームは0点。最終的に2-0でワラビーチームが勝利をおさめた。
「…かちました!」 喜ぶワラビーチーム。何もしてないくせにドヤ顔の有袋類。
一方、よほど悔しかったのか、コートに突っ伏したゴーディー。「OH!負けました!」
ワラビーがそばから声を掛けた。「ゴーディー、がんばったんだから、立って顔を上げて!」
「分かりました。お互いフェアプレーだったわけですし、結果には責任を持たなくてはいけませんね」 フェアネスさを重んじるゴーディー。ゆっくり立ち上がり、会場に呼びかけた。「観客の皆さん、勝利したワラビーチームに、祝福の拍手を!」
「ゴーディーは、ナイスガイです!」喜ぶワラビー。
そして、ハグで健闘をたたえあうワラビーとゴーディー。「サンキューワラビー。次は負けません!」
「ハイ!ワラビーも負けないよゴー…メチカ」 そうだった。
「NOワラビー!ドンコールミー、メチカ!」 悲鳴のような声を上げるゴーディー。
再びワラビーとゴーディーがあいまみえる日は来るのだろうか。それはさておき、タイムスゲームでキングスが勝ってくれてホントに良かった、と胸をなでおろす関係者一同であったー。
~ワラビーと県内ゆるキャラからエール~
「BJリーグも今季でラストシーズン!最後の頂点目指して頑張れキングス!」