是か非でいえば伊是名なんだってワラビー(後編)
伊是名村物産と観光・芸能フェア 編
前回からの続きです。
12日開幕した伊是名村フェアをレポート中のワラビーと、ワラビー担当いきものがかりの村井規儀は屋外の飲食ブースにやってきた。こちらはJAおきなわ女性部。
「ほらワラビー、揚げたてのモズク天ぷらとサーターアンダギ―だよ」
「いわゆる『カロリー』です!」
1個50円の天ぷらが飛ぶように売れる。女性部のみなさんも袋詰め作業に大わらわだ。
「ホカホカです!」
ヤギ肉がたっぷり入った汁をすする有袋類。
「このだしのうまさ…ソーキ汁級です!」 何で汁物を汁物で例えたよ。
12日は強風に見舞われ、肌寒かったタイムスビル周辺だったが、島出身のアーティスト、伊禮俊一さんや、
同じくERRYさんがミニライブで盛り上げた。
それぞれ、オフィス街に伸びやかな歌声を響かせていた。
―さて、再びビル内へ戻り、2階ギャラリーを訪れたワラビーと村井。
こちらでは、「島の秘宝展」のほか、
パンフレットを読み込む村井。「伊是名島の『応援寄附金』だってワラビー。寄附金の一部はもちろん税金から控除されるし、額に応じてもずくキムチや島米、泡盛の古酒なんかがもらえるらしいよ」
「でもワラビーは何とか、お金をかけずにおいしいものをゲットしたいです」
「それ、まさしく島を食い物にしてるよね。ふるさと脱税かよ」
さらに、村出身の版画家、名嘉睦稔さんの絵画展やオリジナル商品販売コーナーに加え―、
沖縄をモチーフにしたおしゃれでポップなTシャツを製作しているHabuBoxが、かりゆしウェア風ポロシャツ「ぽろゆし」を販売している。
「村井せんぱい、にあう?にあう?」
「どうせ最終的に着られるはずないのに試着する…何て不毛な時間なんだ」
「ひどいです!」ぷんすか怒る有袋類。
一方そのころ、タイムスビル前ではある人物が足を止めていた。「ときわの島、伊是名村。懐かしや。わが生まり島じゃ。すこし寄ってみるか」
人物はビル内へ入ってきたと思いきや、エスカレーターで2階に上がってきた。
「妙なけものがおるのう」
「…ハッ!あたまに!」
慌てて村井のもとへ駆け寄った有袋類。「村井せんぱい、あたまに矢がささった人が来たよ!イリュージョンさんです!」
「バカ。あれは琉球国王の王冠だろワラビー…って琉球国王!?」
「いかにも。わしは琉球国王、尚円である」威厳があり、よく通る低い声だ。
「やっぱり。頭を低くしなよワラビー」
「…王さまですか!」
本名「北の松金」 リアル「琉球ゴールデンキング」 尚円(第二尚氏開祖)
「まあおもてを上げなさい。けもの、名は?」
「ふむ。童のようだ」
「王さまはなぜタイムスビルに来たの?…それはなに?」どさくさにまぎれ、王から櫂(かい)を奪うワラビー。
「久米村で明(みん)からの使者と政治談義に花を咲かせておった。首里へ帰る道すがら、懐かしいふるさとの香りを感じ立ち寄ったのである」
「王さまは伊ぜなの人ですか?」
「ああ。伊是名で稲を作っていた。百姓だった。しかし齢(よわい)24にして、広い世界が見たくなり、裸一貫、国頭(くにがみ)村に渡ったのだ」
「…海を渡った時はこう、『…国頭!』のような感じで、自分の進路を強く指さしたのである」
「…ハッ!かっこいい!ワラビーもやりたい!」
「ワラビーのすすむ道…『スイーツ!』」
「ワッハッハ。よく分からんが、いいぞ、けものよ」 よくないだろ。
高貴な尚円王をそこらにずっと立たせておくわけにはいかない、ということで応接室に通した村井とワラビー。「すまんのう、童よ」
「王さま、ワラビーのすむタイムスビルでくつろいで!」偉そうに。
ワラ「…………」
―沈黙に耐え切れず、村井が気を利かせた。「ワラビーがいつも遊んでいる、トランプを持ってきたよ」
「じゃあ王さま、ワラビーポーカーをやろう!村井せんぱい、カードを切って!」
「民草の遊びか。それもまた一興…やろうではないか」尚円王も乗ってきた。
「みんなにせつ明します!ワラビーポーカーは3戦しょうぶ!うら返しにしたカードを1まいずつ取って、すう字が大きいほうがかちです!でもA(エース)は、13にかつよ!」
「けものよ、誰に向けてしゃべっておるのだ」
―そんなこんなで、ワラビーポーカー1回戦。
先手、尚円王。
「槍のような記号が出たぞ」 なんと、最強のA(エース)を一枚目で持って来た。さすが王。天運が味方している。
さっそくピンチにおちいったワラビーだがー。
こちらもブログの主役だけに引きが強いワラビー。「何も考えていない無欲な感じ」が幸運を呼び込むのか。
「ふう。まずは引き分けだね。使ったカードはよけるよ」村井が2枚のAを省き、再度シャッフルした。
「なるほど、理解したぞ」尚円王が要領を得たようだ。
―ワラビーポーカー2回戦。
―なんと、再び両者、最強のカードを引いた。王の天運VS無欲(顔だけ)の戦い。
尚円「けもののくせにやりおるわい。だが王は勝つからこそ王たりうるのだ。勝者こそが正史をつくる」
ワラ「まけません!ワラビーは、タイムスビルにすむ、とかいっ子…」
村井「…火花散ってる感じしねえー」
―ワラビーポーカー3回戦(最終戦)。
ここまで2引き分け。また、すでにAは4枚場に切れているため、数字が多い方がシンプルに勝負を制する。
まずは王。悠然とカードを引くと、にっと笑った。
「けものよ。記号は読めないのだが、おそらく余の勝ちであろう」カードを裏返す尚円王。ダイヤのKがきらめいた。「この姿はたぶん王の姿。槍なき今、最強ではないのかな」
村井が驚く。「その通り、現時点で最強のキングです!」
―だが、ワラビーは動じない。
「何だと?もう槍の札はないのであろう?」戸惑う尚円王。
ワラビーは立ち上がって、自らの手札を場に示した。「ワラビーのカードは…ワラビーエースです!」
村井「…なんかクオリティ低いやつ出たー!」
慌てて確かめる村井。「ちょっと待てよワラビー。これイカサマだろ!Aは4枚って決まっているんだから!」
「ワラビーエースはひびきがカッコいいので、ワラビーがいつもトランプにまぜています!イカサマじゃないです!」
「7並べでは?」
「はみだします!」
「イカサマだろ!ほら、尚円王に謝りなよ」
「…ええー!!」
結局、殊勝に謝った有袋類。「…王さま、すいませんでした」
「良い良い。民草…と戯れるのも楽しかったゆえ」寛大な心で許してくれた尚円王だった。
尚円「けものよ…国頭!」
ワラ「スイーツ!」
村井「何だその締め方!」
フェアそっちのけでこんなことやってていいのだろうか。一抹の不安を感じるワラビーブログスタッフであった―。
~ワラビーからお知らせ~
伊是名村フェアは14日(日)午後6時まで、タイムスビルでやってます!
3Fタイムスホールでは、14日14時~
伊是名郷友芸能公演「伊是名島ぬ村あしび」
が行われます!おかげさまでチケットは完売しました!
飲食、物販ブースではまだまだたくさんの特産品がみなさんを待っています!
「ふくよかなるものよ」の次は「けものよ」ですか。
王さまとトランプしたり、「国頭!」「スイーツ!」と言いながらポーズを決めたり楽しそうです。
ヒロコさんこんにちは!ふくよかなけもの、ワラビーだよ!
伊ぜ名には王さまのおにわ公えんがあって、そこに国がみをゆびさす
王さまの銅ぞうがあるそうです!あっちむいてホイも楽しめそうです!
公えんはけっこう広そうなので、また王さまとトランプしたいです!
ここまで書いて、となりにいる村井せんぱいに、
「野外で小規模なことすんなよ」と言われました…。