カラベジの花を八重に咲かせてワラビー(後編)
まるごと八重瀬 観光・物産と芸能フェア 編
前回からの続きです。
25日に那覇市久茂地のタイムスビルで開幕した八重瀬フェアをレポートしている、沖縄タイムスの広報担当・ワラビー。
片手におはし、片手にセーイカを揚げたおやつ「いちゃいちゃ」を持つ「勝手に試食スタイル」で、ビル1階を散策し始めた。
目を留めたのは町産品販売ブースに並べられた、小さな獅子たち。「かわいい!」
店員さんが教えてくれた。「富盛(ともり)の石彫大獅子のミニチュアだよワラビー」
かつての沖縄で、シーサーは家単位ではなく、集落単位で設置された。そんな村の守り神「村落獅子」は県内各地で見られるが、最大最古のものが1689年に安置された「富盛の石彫大獅子」なのだ。県の有形民俗文化財にも指定されている。
「それよりも、ワラビーはこのジャムにひかれます…」 「それよりも」言うな。
こちらは自家製フルーツ100%、しらかわファームの「手作りまるごとジャム」。店頭にはパッションフルーツ、マンゴー、カーブチーが並ぶ。加水せずにつくるので、果実本来の甘みや酸味が味わえる人気商品だ。
「くだものに自信がある証こにちがいない…お姉さん、ししょくは?」ほめたのち、おねだりを滑り込ませる有袋類。
「ごめんね、やっていないの」
「残ねん…4勝1ぱいです!」 通算すんなよ。
続いて、無添加玄米みそ販売の「ナカマ工房」さんのブースへやって来た。
「みどりさんのこだわり…みどりさんって、だれ…」
「私よワラビー。食べて食べて」 食い気味に声を掛けてきたのは、みそ造り歴20年、栄養士でもある名嘉眞みどりさん。八重瀬の野菜「カラベジ」のピーマンにみそを付けて、ワラビーの口へ運ぶ。
「お口にやさしいかんじだけど、しっかりうまみがあります!」
名嘉眞さんは言った。「みそは『身礎』。身をやしなう源なのよワラビー。だから体にいいものを食べなきゃね」
「―うん、うまい。こういうみそを『口当たりがいい』と言うんだ。…どうだ、働いてるか?」
みそ汁飲み飲みズズズイと登場 ワラビー直属の上司 竹本明人(経営企画室課長)
「今日のフェアでもあんたをほったらかしてるけど、何かタイムスが儲かりそうなことは見つかったか?」
「ハイ!わりばしをもっていると、みんなタダで何かしら食べさせてくれておトクです!」
「それはあんたが子どもだからさ。あんたが今受けている優しさは、いつか成長して、あんたより弱い誰かに返す時が来るよワラビー。優しさは借金さ。返す時は現金かもしれないから、今から貯めておけよ」
「やさしさを、かえす時ですか…」
「まあ今はいいさ。じゃあな。僕は役場の人といろんな調整がある」フェアのタイムス側統括を務め、多忙を極める竹本は去った。
ワラビーはまた一匹になった。「おはしでこの『いちゃいちゃ』のカップをたたくと、ポコポコいい感じです!ポコポコたべあるきます!」
すると、ポコポコ歩く有袋類に対し、再び熱い視線を向ける存在が。
「ワラビー、その音はパーランク―(エイサー用小太鼓)なの!?」何と、またシーちゃんが近寄ってきた。
「シーちゃん、これはパーランクーじゃないよ!」
「シーちゃんはパーランク―の音が聞こえた気がして、ひょっとしてエイサーかと思って来たんだよ!だってエイサーと棒術が大好きだから」
「これはワラビーが考えたおはしのがっき…ハシカッションです!シーちゃんもたたく?」得意げな有袋類。
「もちろん!」シーちゃんは太鼓をはじめとする打楽器と、そのリズムを愛しているのだ。軽やかにハシカッションを打ち鳴らしてみせた。
「…なるほど。カップに入ったセーイカがうまく音を殺しているね。アパートやマンションに住んでいても周りを気にせずに思い切りたたけそう。いい工夫だよワラビー!」 何を言い出したんだシーちゃん。
この後もワラビーの会場めぐりは続いた―。
上地屋さんの黒糖チュロスには、
菊みそ加工所夢工房さんのブースでは何と、みそとスイーツが同居。パッケージもキュートなデザインで統一されている。「みそシフォンが気になります…」
パンとケーキの店デゼレトさんは「カラベジパイ」を出品。シークヮーサーやドラゴンフルーツ、マンゴーなどの風味を生かし、サクサクに仕上げた。
代表の新垣冬美さんは「マーガリンではなく北海道産のバターを使っています。添加物をなくして、八重瀬でとれたものを使っているのよ」とこだわりを語った。
「そんなことより、ワラビーのお口がパイをよんでいます!」 おい。
さらに、2階の展示・体験ブースも充実。
ようざん窯の焼き物や―、
NPO法人自然体験学校沖縄校によるシーサー色付け体験―、
「ワラビーは集中すると、おなかが空くのが玉にきずです!」 傷だらけの玉だな。
さらには町内の観光名所案内から、22000万年前の人骨化石「港川人」の紹介まで盛りだくさんだ。
さて、一通りフェアを回り終えたワラビーを、竹本が捕まえた。「ああワラビー、ここにいたか」
「あんたどうせヒマだろうだから、ビルの裏の立体駐車場で、誘導係をやりなさい」 そう言って、ワラビーへ誘導棒を手渡す竹本。
「係が休憩に入るから交代が必要だけど、僕は今手が回らない。何事も経験だから、とりあえずやる。以上!」 竹本は忙しいのだ。
「分かりました…」しぶしぶ駐車場へ向かう有袋類。
さて、立体駐車場でおっかなびっくり誘導棒を振るワラビーだったが―、
「こつをつかんできました!空いているところに、まっている車を入れる…パズルの要りょうです!」 ―徐々に慣れてきたようだ。
「何ごとも経けん…オーライだよ!オーライだよ!」
慣れてくると、案の定調子に乗ってきた。「このぼうは、どういう音がなるのか…音楽とは可のうせいの、つみ重ねです!」
「このとんがりコーンと合わせてみよう…意外とゴンゴン、おもたい音がなります!」 クラクションとか鳴らされればいいのに。
「…ワラビー!」
「…ハッ!」 まさか。
「その音、太鼓なの?シーちゃんは太鼓の音が聞こえた気がして、ひょっとしてエイサーかと思って来たんだよ!エイサーと棒術は大好き!」
「シーちゃんもたたこう!」
―またしても、ポコポコゴンゴン始まったセッションだったが。
「あんたら、駐車場で遊ぶな!危ないっ!」
そして説教のお時間が始まった。「ワラビー、こんなんじゃ、責任ある仕事も任せられないよ。いつまで新人気分なの?」
「すいません、おもと竹本せんぱい…」 ワラビーがうなだれた。
シーちゃんも続いた。「すいません、おもと?せんぱい…」 疑問形か。
「これまでしてこなかった経験を」と、ワラビーの教育に試行錯誤する竹本。とりあえず「適材適所」ではなかったな、と、ほろ苦い思いになるのであった―。
~ワラビーからお知らせ~
八重瀬フェアはあす26日がいよいよ最終日!
午前10時~午後6時、タイムスビルでやってます!
午後3時~、3階タイムスホールでは、やえせの芸能公演「豊年-HOU NEN-」が開催!
演目は以下の通りです!
〔祈 り〕安里のウフデーク、島の情唄
〔祭 り〕やえせの棒術~棒巻・組棒~、玻名城の弥勒打花鼓、玻名城の獅子舞
〔賑わい〕世名城の綱引き歌・前棒、志多伯の汗水節、青年エイサー、八重瀬賛歌
八重瀬の魅力や特産物を、久茂地のタイムスビルで味わえるチャンスは明日までです!
ワラビーとシーちゃんは、いいコンビですね。
ほのぼのと暴走するのが子供らしくてカワイイ♪
胃袋が食べたがっていたり、お口がパイをよんでいたり、斬新な おねだり 、ナイスです。
私も、みそシフォン が気になりました~✨