科学の明日はかくえがくんだワラビー
青少年のための科学の祭典沖縄大会&ワラビーまつりinちゃたん 編
―夏が来た。
強い日差しが世界の明暗をくっきりと分ける。誰もが少年少女だった時代から、この季節の記憶だけは、よりはっきりと心に焼き付けているのではないか。
そんな夏は、大人も少しだけ子どもに戻れるような気がする。
―というわけで今年も、大人も子どもも、身近な「ふしぎ」を見て触って体感できる「青少年のための科学の祭典沖縄大会2016」(主催・子ども科学おきなわ、日本科学技術振興財団、共催・沖縄タイムス社)が30日午後、ちゃたんニライセンターで開幕した。入場無料。31日まで。
会場には「液体窒素で遊ぼう」「ロボットを動かそう」「割れない風船」「白い花の色は何でできている?」「四次元立体地球儀ダジックアース」「カラフルな色の世界の観察」など約20の実験、工作ブースを設置。多くの親子連れなどが身の回りの「科学」に触れ、楽しんだ。
そんな中、例年この北谷から夏を始める久茂地の有袋類もニライセンターに登場。
「ワラビーのなつが、やって来ました!」 秋なら「ワラビーの秋」言うくせに。
…そう、「科学の祭典」と同時開催しているのが「ワラビーまつりinちゃたん」。
沖縄タイムスブースでは新聞スクラップコーナー、新聞を使ったパズルやクイズに挑戦できる。
文章から「答え」を探す力を育てるのに、新聞はうってつけのテキスト。また、新聞を読み、記事について自分の意見を持つことで、将来必ず役に立つ「コミュニケーション能力」が身につくとされているのだ。
そしてこの日も、沖縄タイムスの販売店主がまつりの運営をサポート。
自らも楽しみながら、子どもたちと新聞をつなぐお手伝いをした。
「そのクイズのこたえは、つぎのページにあるよ!ワラビーは知ってるよ!」
ワラビークイズに挑戦する子どもたちは返した。「シーッ!」「だまっててワラビー!自分で探したいから!」
「ワラビーはただ、おはなしがしたかっただけです!」 コミュ力が低い有袋類。
「ヒマなので、マジックショーをまちます…1ばんのりだよ!」 わびしいな。
「ワラビー!」「すわってる!」「何があるの?」
「科学の祭典」オープニングアクトはもちろんこの人。MR.カガックこと金城靖信教諭(県立教育センター)のサイエンスマジックショーだ。
今回は学校の授業でおなじみ、教科書などをスクリーンへ投影するオーバーヘッドプロジェクター(OHP)を使うようだ。
取り出したのは、風船の中に入った風船。OHPの上へ掲げた。
「…中にある風船だけを割ってみせます」 不敵に宣言するMR.カガック。
しばらくして―。
観客へ原理を説明するカガック。「外の風船は透明で、中の風船は色がついていた。中の風船のほうがより熱を集めたから先に割れたんですね」
「『なんで?』とか『変わってる!』の理由について考えることが『科学すること』なんです」
「…よく分からなかったけど、ふしぎということだけは分かりました!」 科学というより無学な有袋類。てくてくと「科学の祭典」会場であるホールへ向かう。
するとその背中へ、若い女性の声がかかった。「…ワラビー!久しぶり!」
「えっ」 振り向いたワラビーの眠たげな視線の先には、見覚えのある女性の顔が。
「ハッ!…まえに会ったような気おくがあります!」
「覚えてる?うれしい!2年前の科学の祭典とワラビーまつりで会ったんだよ!」
「めっちゃ惜しい!毛谷(けや)だよワラビー!私は毛谷優子」
「そうでした!へやけやまつりです!」 花王かよ。
基本ワラビー大好き関西人 ときどき鳥ガール 毛谷優子
かたく握手を交わす有袋類と毛谷さん。
「けやさん、会いにきてくれて、ありがとう!」
「今回も三線のコンクール出場のために沖縄に来たの。でもワラビーまつりがあるって知って、やばい行かなきゃって」 毎度けいこは大丈夫か毛谷優子。
「サンシンよりワラビーをえらんでくれたの?えらばれし生きものです!」 偉そうに。
「あと、これオニオオハシ。ワラビーに似合うと思って」 何でだ。
「カッコいい!ジャングルのふんい気が出ます!」 草原育ちのくせに。
―そんなこんなでホール内の実験・工作ブースへやって来た有袋類。
まずはこちら。沖縄市立美里中学校の生徒が担当する「空気の力を見てみよう」。
生徒が教えてくれた。「容器の中の空気を抜いていくと、チョコがどうなるか見るんだよワラビー」
ワラビーが懸命にシュコシュコ空気を抜いていくと―。
―チョコの包装ビニールがふっくらふくらんだ。「やった!チョコがふえました!」
「違うよワラビー。容器の中が真空状態に近くなったことで、ビニールの中の気圧が高くなってふくらんだんだよ」美里中の生徒が指摘した。
「チョコがふえたわけじゃないの?がっかりです!じゃあ、次はこのチョコをワラビーの口の中に入れることで、おなかがふくらむ実けんをやろう?」
「そんなワラビーはおことわりです!真面目にやってるんだからね」 女子中学生たちに拒否られる有袋類。
鏡を挟んで「右手がしていることと」と「左手がしていること」のギャップを楽しむ実験だ。鏡に映った右手が左手に見えることで、ふしぎな錯覚が生まれる。
「左手で電ちをもっているけど、ワラビーからはもっていないように見える…かんかくが、おかしくなりそうです!」
こういう実験からは、ふだん身の周りにあるものでも工夫すれば、じゅうぶん「科学」を楽しめることが分かる。
「…それにしても、きょうのワラビーの鼻のあたまはいいかんじでぬれています!ワラビーが女の子だったら、名まえは『ツヤ子』にちがいない…」
―このナルシスティック・アニマルに鏡を見せたのが間違いだったようだ。
続いては「カラスの声とニワトリの声」。
コップから伸びる糸を軍手でこすると―、
「カー、カー、カー!(やや低め)」
「コ、ケ、コッコー!(高め)」
「すごい!これはぼう年会の余きょうに引っぱりだこです!」興奮する有袋類。「ワラビーもやりたい!」
だが、ワラビーがいくらこすっても、カラスもニワトリも沈黙する。「…なんで?」
金城教諭が答えた。「実はこの軍手が湿ってて、摩擦で音が出ているんだよワラビー。きっとワラビーの手が乾いてるんだろう」
「鼻のあたまはぬれています!」
すると、かたわらで見ていた毛谷さんがアドバイス。「ワラビー、オニオオハシがいるじゃない」
「…あっ!このトリをおすと、キュッキュッとなきます!かわいい!」
―するとホール内に、カラスとオニオオハシとニワトリのハーモニーが響きだした。
「カー!カー!」「キュキュキュッ!」「コケコッコー!」
ワラ「たのしいです!」
金城「楽しいねえワラビー」
…何だこれ。
そして貴重な時間をさいてワラビーに付き合ってくれた毛谷さんとはここでお別れとなった。ハグで別れを惜しむ1匹と1人。
「ハイ!けやさんありがとう!こんどはワラビーがすむ大とかい・なはのワラビーまつりにきてね!」 大阪府民を前に大都会・那覇。おこがましい有袋類である。
―さて、最後にワラビーは毎年恒例、ペットボトルロケットのブースへやってきた。
「ロケットをとばさないと、なつはおわりません!」 夏が来たばかりじゃないんか。
しかしやがて、待ち時間を持て余した有袋類。「こっちは、なにをやっているの?」
のぞいたブースは県立沖縄工業高校の「静かに燃える?激しく燃える?」。
工業化学科1年の3人がワラビーの相手をしてくれた。
渡嘉敷直志君は「何って…まあやってみる?ワラビー」
新垣鈴菜さんが説明してくれた。「これは水蒸気爆発の実験だよワラビー」
「ばく発!」びっくりする有袋類。「大へんです!」
鈴菜さんが返答した。「だいじょうぶ。ワラビーは火に水をかける仕事だから」
「でも一応、火を使う実験だから気をつけてワラビー」鈴菜さんが注意を促した。
「ハイ!危けんとせなか合わせ…注いが必ようです!」
さて、いよいよ実験スタート。ビール缶の底に半分程度の食用油を入れ、渡嘉敷君がバーナーであぶっていく。
※専門家の立ち会いのもと、安全性に配慮して実験しています。
三人「ワラビー、水をかけて!」
ワラ「ハイ!」
すると―。
炎が一気に空間へ広がった。
「キャッ!こわいいやだ!」驚き、パニックにおちいる有袋類。「とかしき君、バケツリレーの出ばんだよ!」
渡嘉敷君が止める。「大丈夫だよワラビー。屋外だし、爆発は一瞬だったから」
そこで、見守っていた沖縄工業校メンバーらから拍手が起こった。
高温に熱せられ、着火した油に水をそそぐことにより、水が一気に沸騰して水蒸気になる。その水蒸気とともに油もはじけて爆発を引き起こす。これが水蒸気爆発の原理だ。
天ぷら油が着火した際に水を注いでいけないのはそのためで、そういう非常時には濡れた毛布などをかぶせるのがいいという―。
その後、ワラビーは―。
―しばらくバケツが手放せなくなってしまった。
ワラビーが防火意識に目覚めたのはいいけど、完全に「廊下に立ってろ」感出てるし。なんだか悲喜こもごものワラビーブログスタッフであった―。
~ワラビーからお知らせ~
「青少年のための科学の祭典沖縄大会2016」&ワラビーまつりinちゃたんは31日(日)午前10時~午後5時、ちゃたんニライセンターでやってます!
実験工作ブース約20と新聞ふれあいコーナーは31日も開催!さらに午前と午後の2回、タイムス子ども新聞「ワラビー」連載中の大城さとし先生、ittetsu先生のまんが教室が開催されます!まんが教室は受付順ですので、なるべく早めのご来場をお願いします!
大好評!サイエンスマジックショーも正午と午後4時半に予定しています!
沖縄工業高校の濱川敦教頭が率いる「静かに燃える?激しく燃える?」コーナーは31日もやってます!ワラビーが体感した水蒸気爆発を見に来ませんか?
さらにさらに、8月7日(日)午前10時~、「ワラビーまつりinなは」が開催されます!親子で一日楽しめる企画が満載!詳細はタイムス紙面またはこのブログでお届けします!
ネット(タイムスギャラリーショップ)では手に入らないTシャツなどワラビーグッズも発売予定!
多数のご来場をお待ちしています!