科学の明日はかくえがくんだワラビー


 青少年のための科学の祭典沖縄大会&ワラビーまつりinちゃたん 編

 ―夏が来た。

  強い日差しが世界の明暗をくっきりと分ける。誰もが少年少女だった時代から、この季節の記憶だけは、よりはっきりと心に焼き付けているのではないか。DSC_0759

 そんな夏は、大人も少しだけ子どもに戻れるような気がする。

 ―というわけで今年も、大人も子どもも、身近な「ふしぎ」を見て触って体感できる「青少年のための科学の祭典沖縄大会2016」(主催・子ども科学おきなわ、日本科学技術振興財団、共催・沖縄タイムス社)が30日午後、ちゃたんニライセンターで開幕した。入場無料。31日まで。DSC_1483

  会場には「液体窒素で遊ぼう」「ロボットを動かそう」「割れない風船」「白い花の色は何でできている?」「四次元立体地球儀ダジックアース」「カラフルな色の世界の観察」など約20の実験、工作ブースを設置。多くの親子連れなどが身の回りの「科学」に触れ、楽しんだ。

 

 そんな中、例年この北谷から夏を始める久茂地の有袋類もニライセンターに登場。

 「ワラビーのなつが、やって来ました!」 秋なら「ワラビーの秋」言うくせにDSC_1400

 

 …そう、「科学の祭典」と同時開催しているのが「ワラビーまつりinちゃたん」。

 沖縄タイムスブースでは新聞スクラップコーナー、新聞を使ったパズルやクイズに挑戦できる。DSC_1726

 文章から「答え」を探す力を育てるのに、新聞はうってつけのテキスト。また、新聞を読み、記事について自分の意見を持つことで、将来必ず役に立つ「コミュニケーション能力」が身につくとされているのだ。

 そしてこの日も、沖縄タイムスの販売店主がまつりの運営をサポート。

クイズを解いた子どもへお菓子をプレゼント

クイズを解いた子どもへお菓子をプレゼント

 自らも楽しみながら、子どもたちと新聞をつなぐお手伝いをした。

 

 「そのクイズのこたえは、つぎのページにあるよ!ワラビーは知ってるよ!」DSC_1737

 ワラビークイズに挑戦する子どもたちは返した。「シーッ!」「だまっててワラビー!自分で探したいから!」

 「ワラビーはただ、おはなしがしたかっただけです!」 コミュ力が低い有袋類。

 

 「ヒマなので、マジックショーをまちます…1ばんのりだよ!」 わびしいなDSC_1406

 「ワラビー!」「すわってる!」「何があるの?」

 すると子どもたちが寄って来た。まさしく客寄せワラビー。DSC_1408

 

 「科学の祭典」オープニングアクトはもちろんこの人。MR.カガックこと金城靖信教諭(県立教育センター)のサイエンスマジックショーだ。

風船に針を刺していくMR.カガック(手前右端)。だが風船はなぜか割れない。

風船に針を刺していくMR.カガック(手前右端)。だが風船はなぜか割れない。

 

 今回は学校の授業でおなじみ、教科書などをスクリーンへ投影するオーバーヘッドプロジェクター(OHP)を使うようだ。DSC_1469

 取り出したのは、風船の中に入った風船。OHPの上へ掲げた。

 「…中にある風船だけを割ってみせます」 不敵に宣言するMR.カガック。DSC_1459

 しばらくして―。

 「パン!」 見事、中身の風船だけ割れた。DSC_1461

 観客へ原理を説明するカガック。「外の風船は透明で、中の風船は色がついていた。中の風船のほうがより熱を集めたから先に割れたんですね」DSC_1465

 「『なんで?』とか『変わってる!』の理由について考えることが『科学すること』なんです」

 

 「…よく分からなかったけど、ふしぎということだけは分かりました!」 科学というより無学な有袋類。てくてくと「科学の祭典」会場であるホールへ向かう。DSC_1698

 するとその背中へ、若い女性の声がかかった。「…ワラビー!久しぶり!」

 「えっ」 振り向いたワラビーの眠たげな視線の先には、見覚えのある女性の顔が。

 「ワラビーに会いたくて、また大阪から来たよ!」DSC_1704

 「ハッ!…まえに会ったような気おくがあります!」

 「覚えてる?うれしい!2年前の科学の祭典とワラビーまつりで会ったんだよ!」

 「えっとえっと…へや…へやさんです!」DSC_1707

 「めっちゃ惜しい!毛谷(けや)だよワラビー!私は毛谷優子」

 「そうでした!へやけやまつりです!」 花王かよ

 

 基本ワラビー大好き関西人 ときどき鳥ガール 毛谷優子

「また会いに来たよ!」

「また会いに来たよ!」

  かたく握手を交わす有袋類と毛谷さん。

 「けやさん、会いにきてくれて、ありがとう!」

 「今回も三線のコンクール出場のために沖縄に来たの。でもワラビーまつりがあるって知って、やばい行かなきゃって」 毎度けいこは大丈夫か毛谷優子DSC_1710

 「サンシンよりワラビーをえらんでくれたの?えらばれし生きものです!」 偉そうに。 

 「あと、これオニオオハシ。ワラビーに似合うと思って」 何でだDSC_1712

 「カッコいい!ジャングルのふんい気が出ます!」 草原育ちのくせに。

 「…でしょう!?」 誇らしげな毛谷さん。DSC_1718

 

 ―そんなこんなでホール内の実験・工作ブースへやって来た有袋類。

 まずはこちら。沖縄市立美里中学校の生徒が担当する「空気の力を見てみよう」。

 「チョコやマシュマロがあります!ここはなに?」DSC_1575

 生徒が教えてくれた。「容器の中の空気を抜いていくと、チョコがどうなるか見るんだよワラビー」

  「さっそくやってみます!」DSC_1562

 ワラビーが懸命にシュコシュコ空気を抜いていくと―。

 ―チョコの包装ビニールがふっくらふくらんだ。「やった!チョコがふえました!」DSC_1564

 「違うよワラビー。容器の中が真空状態に近くなったことで、ビニールの中の気圧が高くなってふくらんだんだよ」美里中の生徒が指摘した。

 「チョコがふえたわけじゃないの?がっかりです!じゃあ、次はこのチョコをワラビーの口の中に入れることで、おなかがふくらむ実けんをやろう?」DSC_1585

 「そんなワラビーはおことわりです!真面目にやってるんだからね」 女子中学生たちに拒否られる有袋類。

 「…ええー!ホワーイ?」 外人でもないくせにDSC_1572

 

  次にやって来たのは「ふしぎな感覚を体験しよう」。DSC_1597

 鏡を挟んで「右手がしていることと」と「左手がしていること」のギャップを楽しむ実験だ。鏡に映った右手が左手に見えることで、ふしぎな錯覚が生まれる。

 「左手で電ちをもっているけど、ワラビーからはもっていないように見える…かんかくが、おかしくなりそうです!」DSC_1608

 こういう実験からは、ふだん身の周りにあるものでも工夫すれば、じゅうぶん「科学」を楽しめることが分かる。

 「…それにしても、きょうのワラビーの鼻のあたまはいいかんじでぬれています!ワラビーが女の子だったら、名まえは『ツヤ子』にちがいない…」 DSC_1593

 ―このナルシスティック・アニマルに鏡を見せたのが間違いだったようだ。

 

 続いては「カラスの声とニワトリの声」。

担当はMR.カガックこと金城教諭

担当はMR.カガックこと金城教諭

 コップから伸びる糸を軍手でこすると―、

DSC_1517

 「カー、カー、カー!(やや低め)」

 「コ、ケ、コッコー!(高め)」

 ―と、結構それっぽい音が出るのだ。DSC_1520

 「すごい!これはぼう年会の余きょうに引っぱりだこです!」興奮する有袋類。「ワラビーもやりたい!」

 だが、ワラビーがいくらこすっても、カラスもニワトリも沈黙する。「…なんで?」DSC_1522

 金城教諭が答えた。「実はこの軍手が湿ってて、摩擦で音が出ているんだよワラビー。きっとワラビーの手が乾いてるんだろう」

 「鼻のあたまはぬれています!」 

 すると、かたわらで見ていた毛谷さんがアドバイス。「ワラビー、オニオオハシがいるじゃないDSC_1540

 「ホントです!」先ほどのオニオオハシを取り出した有袋類。DSC_1530

 「…あっ!このトリをおすと、キュッキュッとなきます!かわいい!」DSC_1538

 ―するとホール内に、カラスとオニオオハシとニワトリのハーモニーが響きだした。

 「カー!カー!」「キュキュキュッ!」「コケコッコー!」

 「カー!カー!」「キュキュキュッ!」「コケコッコー!」DSC_1535

 ワラ「たのしいです!」

 金城「楽しいねえワラビー」

 …何だこれ

 

 そして貴重な時間をさいてワラビーに付き合ってくれた毛谷さんとはここでお別れとなった。ハグで別れを惜しむ1匹と1人。

 「ワラビー、また来るね!今日は楽しかったよ!」DSC_1720

 「ハイ!けやさんありがとう!こんどはワラビーがすむ大とかい・なはのワラビーまつりにきてね!」 大阪府民を前に大都会・那覇。おこがましい有袋類である。

 

 ―さて、最後にワラビーは毎年恒例、ペットボトルロケットのブースへやってきた。DSC_1805

 「ロケットをとばさないと、なつはおわりません!」 夏が来たばかりじゃないんか。DSC_1825

 

  しかしやがて、待ち時間を持て余した有袋類。「こっちは、なにをやっているの?」DSC_1800

 のぞいたブースは県立沖縄工業高校の「静かに燃える?激しく燃える?」。

 工業化学科1年の3人がワラビーの相手をしてくれた。

(右から)渡嘉敷直志君、新垣鈴菜さん、新垣星南(せな)さん

(右から)渡嘉敷直志君、新垣鈴菜さん、新垣星南(せな)さん

 渡嘉敷直志君は「何って…まあやってみる?ワラビー」

 新垣星南さんが続いた。「そのほうが話が早いし」DSC_1813

 新垣鈴菜さんが説明してくれた。「これは水蒸気爆発の実験だよワラビー」

 「ばく発!」びっくりする有袋類。「大へんです!」

 鈴菜さんが返答した。「だいじょうぶ。ワラビーは火に水をかける仕事だから」

 「消ぼう士といっしょです!カッコいい!」無邪気な有袋類。DSC_1784

 「でも一応、火を使う実験だから気をつけてワラビー」鈴菜さんが注意を促した。

 「ハイ!危けんとせなか合わせ…注いが必ようです!」

 

 さて、いよいよ実験スタート。ビール缶の底に半分程度の食用油を入れ、渡嘉敷君がバーナーであぶっていく。

 ※専門家の立ち会いのもと、安全性に配慮して実験しています。

 

DSC_0911

 ―やがて食用油は高温となり、炎をあげるようになった。DSC_0923

 三人「ワラビー、水をかけて!」

 ワラ「ハイ!」

 すると―。

 

 

 ボウッ!DSC_0936 - コピー

 炎が一気に空間へ広がった。

 「キャッ!こわいいやだ!」驚き、パニックにおちいる有袋類。「とかしき君、バケツリレーの出ばんだよ!」

 バケツを手に火を消そうとするワラビー。DSC_1789

 渡嘉敷君が止める。「大丈夫だよワラビー。屋外だし、爆発は一瞬だったから」

  そこで、見守っていた沖縄工業校メンバーらから拍手が起こった。

 「ワラビー頑張ったね!」「実は水が危ないんだよ!」DSC_1783

 高温に熱せられ、着火した油に水をそそぐことにより、水が一気に沸騰して水蒸気になる。その水蒸気とともに油もはじけて爆発を引き起こす。これが水蒸気爆発の原理だ。

 天ぷら油が着火した際に水を注いでいけないのはそのためで、そういう非常時には濡れた毛布などをかぶせるのがいいという―。

 

 その後、ワラビーは―。

 「ばく発は、こわすぎます!」DSC_1794

 「ワラビーがいつでも、バケツで消せるよ!」DSC_1802

 

 ―しばらくバケツが手放せなくなってしまった。

 ワラビーが防火意識に目覚めたのはいいけど、完全に「廊下に立ってろ」感出てるし。なんだか悲喜こもごものワラビーブログスタッフであった―。

 

 ~ワラビーからお知らせ~

 「青少年のための科学の祭典沖縄大会2016」&ワラビーまつりinちゃたんは31日(日)午前10時~午後5時、ちゃたんニライセンターでやってます!

 実験工作ブース約20と新聞ふれあいコーナーは31日も開催!さらに午前と午後の2回、タイムス子ども新聞「ワラビー」連載中の大城さとし先生、ittetsu先生のまんが教室が開催されます!まんが教室は受付順ですので、なるべく早めのご来場をお願いします!

 大好評!サイエンスマジックショーも正午と午後4時半に予定しています!

 毎年大好評のペットボトルロケットに加え、無題

 沖縄工業高校の濱川敦教頭が率いる「静かに燃える?激しく燃える?」コーナーは31日もやってます!ワラビーが体感した水蒸気爆発を見に来ませんか?DSC_1807

 さらにさらに、8月7日(日)午前10時~、「ワラビーまつりinなは」が開催されます!親子で一日楽しめる企画が満載!詳細はタイムス紙面またはこのブログでお届けします!

 ネット(タイムスギャラリーショップ)では手に入らないTシャツなどワラビーグッズも発売予定!

 多数のご来場をお待ちしています!


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