真夏のフェスのヘッドライナーだワラビー(中編)
2016 ワラビーまつりinなは 編
前回の続きです。
タイムスビル全体をテーマパーク化し、夏休みの子供たちに一日遊んでもらう「ワラビーまつりin那覇」。
ワラビーは「個別指導Axis」のブースを訪れていた。ここでは「こどもアプリ ワオっち」の体験ができるのだ。
「機かいは苦手です!最近さわった機かいはクーラーとかき氷機…」 夏を満喫か。
「大丈夫だよワラビー、簡単だから」
スマホやタブレットにダウンロードしたさまざまなアプリを利用した親子学習で、知力や表現、感性など幼児期に伸ばしたい力を育てられるという。
「タッチで楽しく言葉を覚えるアプリをやろうか。漢字のフリガナをタッチしてごらん」
「フリガナ、フリガナ…」タブレット画面を見つめるワラビー。すると、横からすっと指が伸びてきた。
「ワラビー遅いよ。先に押しちゃった!」
「ハッ!いつの間にか、ライバルがいっぱいです!」
「早く代わってよワラビー」
「…とりあえず、子どもたちに引っぱりだこのワオっちだよ!よろしくね!」 無理やり締める有袋類。
会場には絵本の読み聞かせコーナーも。タイムスの子ども新聞の方の「ワラビー」で「読み聞かせ劇場」を連載している絵本作家、しろませいゆうさんとも触れ合った。
「ワラビーの連載をまとめた『歌うの大好き♪ミミクジラ~』も絶賛発売中!親子のコミュニケーションに活用してください」
「かおや形がおもしろい生きものに、たくさん会えるよ!第2だんは『たべるの大好き♪モグワラビ~』にちがいない…」 自ら墓穴掘ってないか。
さらに、出張版「科学の祭典」も。与勝中学校の仲井間悟教諭が来場客を盛り上げる。
「剣山に風船を押し付けたら…割れるかな?割れるかな?」
「ここは何ですか?入ってみよう…」
そこは「おばあタイムス」大城さとし先生と「うちなー芸能探偵ダン☆」ittetsu先生のマンガ教室の会場だった。「こんにちは!ワラビーだよ!」
「ワラビーだ!」駆け寄ってくる子どもたち。
「ワラビー、何しに来たの」 戸惑う大城さとし先生(顔出しNG)。
「じゃまはしません!何もしないを、しにきたよ!」 新手のプーさんかよ。
「いや落書き始めちゃってるよねワラビー」
「これだけ描いたらかえります!」 勝手知ったる大城先生の前では、ついつい自由に振る舞ってしまうワラビーなのだ。
結局、場をかき乱すだけかき乱して去る有袋類。「じゃあみんな、たのしんでね!」
大城先生はつぶやいた。「つむじ風みたいなやつだな…」
こちらもおなじみ、読者局員と新聞販売店主による新聞スクラップ教室も開かれた。今回は時間を区切らず、いつでも来て学べる方式で気軽に来場者を呼び込んだ。
新聞スクラップといっても難しく考えず、記事や写真をジョキジョキ切り抜いて、好きなレイアウトで紙に貼り付けてくだけでも楽しいもの。長く続けることでいつの間にか「読解力」や「コメント力」が育つとされているのだ。
「ワラビー!」「ふかふかだね!」
「長つづきが、かしこくなる秘けつだよ!」 子どもの集中力を長続きさせない有袋類。
そこかしこで、常時何かしらのイベントが進行する「ワラビーまつり」。1階エントランスでは大道芸人「たまんちゅ」さんのパフォーマンスで人だかりができていた。
球を使ったジャグリングは圧巻。観客は思わず口を開けて見とれてしまうのだ。
「たまんちゅさんは、最こうです!」演目終了後、興奮が冷めやらないワラビー。
ダンボール製のパーランクー(エイサー用小太鼓)を打ち鳴らしながらたたえる。「このパーランクーも、パンパン、いい音が出るよ!」
―すると、そんなワラビーに熱い視線を向ける存在がいた。
「…ハッ!」思わずひるむ有袋類。
「ワラビー、それはパーランクーなの?」
「あれは…やえせ町の、シーちゃんです!」
「シーちゃんはパーランクーの音が聞こえたから、エイサーと思って来たんだよ!エイサーと棒術は大好き!」さっそくバチを手に取り、パーランクーを叩き出す。「うん、乾いてよく響く、いい音!」
「シーちゃん、久しぶりです!」
太鼓が聞こえりゃ「ここ!八重瀬」 踊れる獅子 シーちゃん(シーサーの精)
「ゆるキャラパーティーにお呼ばれされたんだけど、早く来て遊んだり、打ち鳴らしたり、スリ、スリしようと思って!」 動機をエイサーに寄せていくシーちゃん。
「スリサーサーです!ようこそワラビーまつりへ!」
「後でまた遊ぼうねワラビー。シーちゃんは棒を持って、さまようよ!」
「ハイ!」
「あっ、これは、太鼓…?」
「それは僕の腹だなシーちゃん。棒で叩くのやめようか」
イベントの統括で多忙を極めているのに巻き込まれる、不遇のワラビーの上司、竹本明人(経営企画室課長)であった―。
さて、タイムスホールではこちらも毎年大人気、「Mr.カガック」こと金城靖信教諭(県立教育センター)によるサイエンスマジックショーが始まっていた。
目の前で起こるいろんな「ふしぎ」たち。子どもも大人も舞台にくぎ付けだ。
その頃、タイムスビル2階では―。
「さあ、どでかい『花火』を打ち上げてやるか―」 誰に聞かれるでもなくつぶやかれた言葉。
珍奇な身なりに向けられる好奇の視線。
おののく子ども。
けげんな顔の子ども。
泣き叫ぶ子ども。
…タイムスビルに2年ぶりに「小さな恐怖」リアルワラビーが襲来した。
「きみたちの夢に出ちゃうぞ!」 アニマルテロ リアルワラビー・山盛基(一般人)
※リアルワラビーはDEEOKINAWAライター、やんばる たろう(本田 義統)様のネタです。毎度毎度すいません。
「ふふふ、誰にも止められることなく、ここまで来れた。祭りでコスプレすることにより、かえって目立たない…まさに『木を隠すなら森に隠せ』!」 何言ってんだ。
タイムスホール最深部まで潜入してきたリアルワラビー・山盛。しばらく視線を舞台に注いでいた。
「さて、問題はタイミングだな」
一方、舞台はサイエンスマジックショー最大の見せ場、空気砲へさしかかる。ワラビーもMr.カガックのアシスタントとして壇上へ。
「空気ほうのしくみを説めいするよ!えっと…えっと…とにかく、けむりは、ゴホゴホするから気をつけて!」 観客を煙に巻く有袋類。
「それではさっそく、発しゃします!」 ワラビー、後ろ、後ろ!
「ワラビー!」 巨大な赤いビーチボールを持ってリアルワラビー・山盛が登場。
「あっ、ワラビーのなかま?」 2年前と同じリアクションの有袋類。
リアルワラビーはそのまま、ボールをワラビーへ投げつける。
「キャッ!」 大きなボールが有袋類の大きな頭でバウンドした。
「…人気者でうらやましいぞ!」 嫉妬かよ。
「やってやった…やってやったぞ!」荒い息のリアルワラビー・山盛。
「ハア、ハア…よく見たら、2年まえのワラビーまつりでもワラビーをだました山もりさんです!どうしてワラビーにこんなことするの?」
「…ごめんワラビー」急に殊勝になるリアルワラビー・山盛。「子どもに人気者のワラビーになりたくて……なれなくて……夏」 「夏」言うな。
「もやもやしているなら、ワラビーと一しょに、空気ほうを打とう?きっとスカッとします!」
「空気砲?一発打ったら…スカッとするかな?」
「一ぱつ打って、スカッとします!」 ある意味危ない連中だな。
ワラビーとリアルワラビーは空気砲をセッティングし、会場の子どもたちに向けて放った。
「空気ほうだよ!」「空気砲!」
ボン! 段ボールの砲台から大きな煙のかたまりがホールに放たれ、子どもたちの盛大な歓声が上がった。「すごい!」「もっと打って!」
「スカッとするねワラビー!」 リアルワラビー・山盛に笑顔が戻った。
「スカッとします!」
最後は子どもにも受け入れられたリアルワラビー・山盛。ひと時の人気者気分を味わうのであった―。「こりゃやめられないな…」
そしてワラビーまつりはいよいよクライマックスのゆるキャラパーティーへ!ゆるキャラたちが力を合わせ立ち向かったピンチとは!?
「真夏のフェスのヘッドライナーだワラビー(後編)」へ続く!
~おまけ~
リアルワラビー、大人には大人気。
「何か大変ですね。お疲れ様です」
「ありがとうございます!」
山盛さん、いつもご協力、ありがとうございます!(ワラビーブログスタッフ)
※2016年7月に始まった「ポケモンGO」ブームに乗っかりモンスターボールを自作してきてくれた山盛さん(一般人)。
掲載が1年後となり、モンスターボールのくだりは割愛されるとも知らない笑顔がいじらしい。