真夏のフェスのヘッドライナーだワラビー(後編)


 2016 ワラビーまつりinなは 編

 前回の続きです。

 

 夏の一日、タイムスビルをまるごと使って親子に楽しんでもらうワラビーまつり。

 3階タイムスホールの舞台を盛り上げるのは「2DA TOP」のキッズたち。

 大きな子たちは切れがある迫力のパフォーマンスを披露。

 小さな子も体を大きく使って、元気いっぱいのダンスを見せた。表現することの喜びを感じさせてくれるステージ。

 一方、舞台そででキッズのお誘いを受ける有袋類。

 「ねえ、ワラビーも見てないで入れば!」

 「ワラビーはみんなのダンスを見て、心をおどらせてるよ!」 何だその大御所感

 

 -そんな「2DA TOP」の出番は終わり、

「また遊びに来てね!」

 ワラビーまつりはいよいよクライマックスのゆるキャラパーティーへなだれ込む。

 

 ワラビーの招待を受け、まつり会場まで来てくれたゆるキャラたちが観客の前へ次々と登場するのだ。

 まずは中城村からやって来た「ごさまる君」。特産の島ニンジンを持ちながら現れた。

 「はいさーい!中城城の城主、ごさまるだよ!」

 護佐丸は14~15世紀の琉球の戦国時代を生きた武将。尚巴志による琉球の統一に貢献し、世界遺産の座喜味城と中城城を建てた築城の名人として有名だ。勝連城主の阿麻和利の策略にはまり、攻め滅ぼされたとされる。

 県内土建業界のカリスマ 中城城主 ごさまる君

 「タイムスビルも建てたかったよ!」 リップサービスもこなすごさまる君。

 中城村の小学校の授業には県内で唯一、琉球の歴史を教える「ごさまる科」がある。村内には「ごさまるバス」が走り、このほど「護佐丸歴史資料図書館」もオープンするなど何かと「護佐丸推し」の村だ。

 

 続いては嘉手納町から来たキャラクター。

 「はいさいっち!いもっちだっち!」

 町出身の野國總管が1605年、中国から甘藷(かんしょ=イモ)を琉球に持ち帰ったことで、多くの貧しい人が飢えから救われた。そんな「甘藷伝来400年」を記念して生まれたキャラなのだ。

 いつかはなりたい紅芋タルト 生ける糖質 野国いもっち

  「イモのおいしさ、伝えたいっち!」 上向きの目は向上心なのか。地中育ちだからなのか。

 

 「こんにちはー」おずおずと登場してきたのは西原町のさわりん。頭上のサワフジ(サガリバナ)とブーゲンビリアがいい香りを漂わせる。

 さわりんは恥ずかしそうに舞台中央へ進み出た。「ワラビーまつりは今年も人がいっぱいで、緊張するりん♪」

 

 文教のまちに咲く初々しさ 若葉の緑よ永遠に さわりん

 「帰ったら日記につけよう…きっとたくさんの事を学べると思うりん♪」

 

 さらに、糸満市から糸満美人のいとちゃんが―、

 「ヒト感」が強い 県内ゆるキャラ界のライダーマン いとちゃん 

 「はいたい~」

 

 ―沖縄有数のマンゴーの産地、「マンゴーの里」豊見城市からはフルーツ大好きな女の子、「アゴマゴちゃん」が登場。

 顔の南半球に視線の求心力 スイート&キュートなだ円 アゴマゴちゃん

 「長いアゴ、ちょっぴり悩んでいます!」 思春期か。

 次々と出てくるユニークでバラエティあふれるゆるキャラたちに、舞台を見守る親子も大喜び。登場のたびに歓声が上がり、カメラのシャッターが切られる。

 

 なおも続く。やえせのシーちゃんはダンスで会場をわかせた。

 「手踊りもできるんだよ!」

 

 そして県内ゆるキャラ最大の人気を誇る、南城市なんじぃが登場。そこかしこから「なんじぃ!」「かわいい!」の声が上がった。

 「ワラバー(有袋類)のまつりに呼ばれたなん!うちなーの宝、ワラバー(子ども)たちがたくさんいてうれしいなん!」

 うれしさからか、ご老体とは思えない見事なランニングマンを披露するなんじぃ。

 「ハートのまち南城」を動かす老ペースメーカー なんじぃ

 「8月10日はわしの誕生日だから、みんな南城市に遊びに来るなん!」

 

 さらに沖縄県警のマスコット、シーサー君

 ダイヤル110番で降臨 県民の守り神 シーサー君

 「夏休みだからって、夜出歩いたらだめサー!」

 

 初参加となった沖縄海邦銀行かいホーくんは丸い巨体が大人気だった。

 青い…鳥? 銀行を超えて羽ばたけ かいホーくん(フクロウ)

 「かいぎん本店に来てくれたワラビー先輩には、タイムスビルに来れてうれしいとホー告するホー!」

 

 そして、こちらもワラビーとは何度も遊んだことがある勝手に沖縄健康長寿大使ごっちゃん

 ゴーヤーとシーサーのハイブリッド(チャンプルー) ごっちゃん(58歳)

 「去年のまつりからまた一年、健康でいられたサ~」 初老の感想か

 

 以上10のゆるキャラたちを出迎えた本日のホスト兼ヘッドライナーは―。

 司会が呼び込んだ。「沖縄タイムスの、ワラビー!

 拍手と歓声の中、登場する有袋類。「ワラビーだよ!」

 ワラビーは一礼した。「みんなも、ゆるキャラのみんなも、今日はありがとう!」

 「ワラビーまつりの日は、1年分の幸せをもらえます!子どもも、大人も、きょうは1日、子どもの気持ちになって、しんぶんをめくるようなワクワクをかんじたと思います!」

 「さい後まで楽しく遊んでね!」 あいさつにこの数年の成長を感じさせたワラビー。

 

 そして、ゆるキャラたちが舞台を降りて、来場者と触れ合う時間に突入した。

降りるというより「ずり落ちる」かいホーくん

 握手したりハイタッチしたり記念撮影したり。

 

 毎年恒例のカオスなひとときが訪れた。

 最後は来場者とゆるキャラで記念撮影。「はい、チーズ!」

 

 2017年の「ワラビーまつり」での再会を誓いあうのだった―。

 

 事件は、パーティーを終えたゆるキャラたちが引きあげ、幕が下りた舞台内で起こった。

 発端は嘉手納町のいもっち。「ハア、ハア、充実したイベントだったっち!…あ!」

 バランスを崩し、照明と床に足を挟まれてしまった。「痛いっち!」

 町職員の男性が慌てた。「大変だ。誰かいませんか?」

 そこにやって来たワラビー。「いもっち、どうしたの?」

 「あ、ワラビーっち。面目ないっち。どうやら足を挟まれてしまったっち!」

 「大変っち!」 しゃべりに引きずられる有袋類。「ワラビーが引っぱってみるね。うんとこしょ。どっこいしょ」

 ワラビーがいもっちを引っ張るが、足は抜けない。「これは、もっと助けが必ようです!」

 「ワラバー、どうしたなん?」 そこで声を掛けられた。振り向けばなんじぃ。

 「あっ!おじいさん!いもっちが足をはさまれて、ぬけなくなったよ!」

 「なんじぃ、すまないっち!イモ野郎と呼んでくれっち!」 卑屈か

 「わしに手伝えることはあるかなん?」

 「ワラビーと一しょに、いもっちを引っぱって!」

 「なんくるないなん!ワラバー、このひもを使うなん!」 そう言って、ふところからひもを取り出したなんじぃ。

 ひもをいもっちに巻き付け、今度はワラビーとなんじぃで引っぱる。

 「うんとこしょ。どっこいしょ…だめです!力が足りません!」

 「うーん、だれか声をかけてみるかなん!」

 「ウフッ!ウフフフ…」いきなり笑い出したワラビー。

 「ワラバー、どうしたなん?」「どうしたっち、ワラビー?」 けげんな顔をするなんじぃといもっち。

 「ウフフ…このかんじ、『おおきなかぶ』にそっくりです!ウフフフ…」

 「ワラバー、今そんなこと言ってる場合かなん!」 なんじぃが突っ込んだ。

 

 「おおきなイモ」 沖なわタイムス・ワラビー

 おじいさんがいいました。「あまいあまい、イモがぬけないなん!」

 「そうだ!」

 おじいさんは、さわりんをよんできました。

 「よいしょ」イモにまきつけたヒモをワラビーがひっぱって、「うんとこしょ、どっこいしょ」。おじいさんがヒモをひっぱって、「うんとこしょ、どっこいしょ」。さわりんがヒモをひっぱって、「うんとこしょ、どっこいしょ」。

 それでもイモは、ぬけません

「申し訳ないっち!」

 「そうだ!」

 さわりんは、ごっちゃんをよんできました。

 「よいしょ」イモにまきつけたヒモをワラビーがひっぱって、「うんとこしょ、どっこいしょ」。おじいさんがヒモをひっぱって、「うんとこしょ、どっこいしょ」。さわりんがヒモをひっぱって、「うんとこしょ、どっこいしょ」。ごっちゃんがヒモをひっぱって、「うんとこしょ、どっこいしょ」

 まだまだイモは、ぬけません

「すまないっち!」

 

 「ちょっと休けいするなん!」なんじぃが号令をかけた。「いもっち…どんな感じかなん!」

 「あと一引き、という感じはするっち!もう一人誰かいれば…という状況だっち!」いもっちが答える。

 「でもパーティが終わってもう20分。ほかのゆるキャラたちは帰ってしまったはずなん!」

 そこで考え込むワラビー。「もう一人、だれかいれば…」

 なんじぃが言った。「仕方ないなん!もうちょっとわしらで頑張ってみるなん!」

 「すまないっち!」

 

 再挑戦。しかし、ワラビーはヒモを引っぱらずに、なぜかパーランクーを叩き出した。乾いた高らかな音が周囲に響く。

 なんじぃがとがめた。「ワラバー、タイコで応援するよりもヒモを引いてくれたほうがありがたいなん!」

 「ちがいます!」ワラビーは否定した。「パーランクーをたたけばきっと…」

 

 「ワラビー!?エイサーなの!?」 シーちゃん登場。


 「やっぱり!シーちゃんが来ました!」

 「シーちゃんはパーランクーの音が聞こえたから、ひょっとしてエイサーかと思って。だってエイサーと棒術が大好きだから!…ちょっとパーランクーを借りるねワラビー」

 「シーちゃん、一しょにいもっちを助けよう!」

 「エイサーの後に?」

 「今です!」

 

 ワラビー、なんじぃ、さわりん、ごっちゃん、シーちゃんが力を合わせ、ヒモを引っぱる。「うんとこしょ、どっこいしょ!」「うんとこしょ、どっこいしょ!」

 スポン!挟まっていた照明と床のすき間から、いもっちの足が抜けた。

 「抜けたっち!」

 「やりました!」「やったなん!」「やったりん!」「やったサ~!」「やったね!」

 ゆるキャラたちは歓声を上げ、健闘をたたえあった。

 「みんな、ありがとうっち!感謝しかないっち!」喜ぶいもっち。「ワラビー、まつりはとてもいい思い出になったっち。また呼んでくれっち!」

 「うん、ワラビーも感しゃだよ!」うなずく有袋類。「また来てね、イモ野郎!」

 「ひどいっち!」落ち込むいもっち。

 ワラビーまつりを成功させ、ゆるキャラたちと困難を乗り越えたワラビー。また少し成長したはずだが、とりあえず最終的に言葉がすぎるのであった―。

 

 ~ワラビーからお知らせ~

 8月6日(日)は、いよいよ「ワラビーまつりin那覇」開催です!午前10時~午後4時、那覇市久茂地2-2-2のタイムスビル、入場無料でやっています!

 

 多彩な催しを遊びつくす夏にしてね!会場ではワラビーが待っています!

 

 さらにさらに、8月6日(日)は沖縄市与儀3-11-1、県立総合教育センターで「ワラビーまつり&青少年のための科学の祭典」が開かれます!10~17時、こちらも入場無料です!

いろんな実験が楽しめるよ!

 15以上の実験ブースが設置され、身近な「ふしぎ」の秘密を探れます!

 大人気の「サイエンスマジックショー」ももちろん開催します!

 

 夏の恒例、2つの「ワラビーまつり」、多くの来場をお待ちしています!

 


  1. どすこ~い より:

    去年のイベントを、ギリギリ一年以内(?)でお知らせするとは・・
    さすがワラビー、マイペースですね。
    今年のイベントも、頑張ってね~☺

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