かりゆしの海に映(ば)える君を見たんだワラビー
DMMかりゆし水族館 編
夏も盛りを迎えようという7月のある日、沖縄タイムスのマスコットで、広報担当社員のワラビーは、豊見城市にある「DMMかりゆし水族館」を訪れていた。
「水ぞく館に来るのははじめてです!ぞくぞくします!」
「悪寒みたいに言わないでよワラビー。『わくわく』でしょう?」
今回、ワラビーの補佐役を務めるのは、5年ぶりのワラビーブログ登場となる沖縄タイムス社デジタル編集委員の里子。
執筆した記事「慶応と沖縄戦 激戦地への命令は1500km離れた豪華なキャンパスから…なぜ?」がこのほど、Yahoo!ニュースで社会の課題を伝える記事に贈られる6月の「月間MVA」に選ばれるなど、存在感を示している。
ギャルとジャーナリストのハイブリッド 沖縄タイムス社 デジタル編集委員 與那覇里子
豊見城市の埋め立て地で、都市開発と観光拠点化が進む豊崎地区。かりゆし水族館は2020年5月、大型ショッピングセンター「イーアス沖縄豊崎」に併設する形でオープンした。1~2階合わせて約7千平方メートルの施設には魚類を中心に約190種類、5千点の生き物が展示されている。

イーアス沖縄豊崎。DMMかりゆし水族館は左手の建物
「新しいカタチのエンタテイメント水族館」を掲げ、「さまざまな海洋生物や動植物にこだわり抜かれた映像や音響を組み合わせた」とアピールしている。テーマパークのような「ワクワク」と、水に包まれる「いやし・リラックス」が共存する「まったく新しいリゾート空間」を提供するという。
このかりゆし水族館がオープン1周年を経て、今年7月に映像などの演出をリニューアルした。ワラビーと里子も、プレス向けの内覧会に呼んでもらったのだ。

「行ってきます!」
入場ゲートをくぐり、奧へと案内されるワラビーと里子。
「里子せんぱい、内らん会のいいところは、お金をはらわなくてもいいところです!」
「毎度言うけどワラビー、そんなところに良さはないよ。その分しっかり施設の魅力を伝えなきゃ・・・ペンはどこだっけ」 カメラを意識しないブログの主役たちよ。
ワラビーが気づいた。「床には動物の足あとがあります!ふき忘れかな?」
「違うでしょう。『この上に並んでね』という表示だよ。来場者を楽しませながらソーシャルディスタンスを取る、いい工夫だね」
「なるほどー!」感心する有袋類。
「強制ではなく、人が自発的に行動するよう促す『ナッジ』と呼ばれる手法の一つね」
「いまはおひるの2時だよ!」
「『何時』と言ったわけじゃないよワラビー」
まず案内されたのは、3面の大型スクリーンにより臨場感あふれる映像体験ができる「はいさいゲート」。薄暗いシアターに足を踏み入れる。
「ワラビーは、ハヤオか、マコトの映画がみたいです!…マモルでもいいよ!」
「なんでみんな名前呼びなのよ。あっ、始まるみたいよ」
まもなく、視界いっぱいに沖縄の自然が映し出された。朝焼けの雲やサンゴ礁の海、夜の山あいに飛び交うホタル―。波の音や風、水しぶきも感じられ、臨場感たっぷりだ。
ドローンや水中撮影、コンピューターグラフィックスによる映像が組み合わされ、ダイナミックな「旅」を楽しめるのだ。
「わあー。鳥や、魚になった気分です!」 はしゃぐ有袋類。
「すごーい!」 里子も歓声を上げた。
―映像終了後は水族館への扉が開き、いよいよ館内へ。
「ひろい場所にでました!」 ここからは、亜熱帯の森を再現したエリア。「木もれ日」に照らされ、まだら模様になる有袋類。
さっそく、正面に広がる淡水魚の大きな水槽が1匹と1人を出迎えた。
「里子せんぱい、高そうな金魚たちです!」
「やらしい形容しないでよ。でも、ひらひらきれいだねー」
さて、かりゆし水族館に来たらぜひ挑戦してほしいのが「いきものあつめ」だという。なにやら水族館の生き物をコレクションできるらしい。そう聞いたワラビーは―。
「ホントですか?ちょっとまってて!」 顔を輝かせ、その場をいったん立ち去った。
―そして5分後。虫取り網に虫かごを持った夏休みの小学生スタイルで現れた有袋類。
「カブト虫とクワガタ虫は、どこですか…」
里子が慌てた。「ちょっとワラビ-、なに網とかごを持ち込んでんの?」
「こんなこともあろうかと思ってました!」 ※もちろん持ち込み禁止です。
「ていうか水族館の生き物を勝手にハントしちゃだめでしょう。こっちによこして」
「いやです!」
「よこしなさいって」
「いやです!里子せんぱいは、おじゃま虫です!・・・あっ」
振り回されたワラビーの網はー。
「………………」 捕獲されたおじゃま虫・里子(ジャーナリスト)。
結局しぶしぶ、網とかごを里子に渡したワラビー。
「じゃあ管理事務所に預かってもらうよ。ちゃんと名前は書いてるのワラビー?」
「だいじょうぶです!ワラビーのおなまえシールをはっています!」
「本当だ。じゃあ預けておくね」
「ハイ・・・」
では本来の「いきものあつめ」は―。
まずはスマホを用意して、かりゆし水族館の公式アプリをダウンロードする。館内はフリーワイファイも整備ずみ。アプリは入館前にダウンロードしておくことも可能だ。
そうして館内のあちこちにある、この「かざしてみよう」表示にスマホをかざすと―。
「あっ、スマホがぶるっと震えた!」 里子が画面をのぞいてみる。
「やった、『ネオンテトラ』ゲットだって!」
ゲットしたネオンテトラは公式アプリの画面に登場し、水中をすいすいと泳ぎだした。

ゲットしたネオンテトラが画面内を泳ぎ出す
「アニメもかわいい!なるほどねー。これは集めたくなるし、コレクションするために何回も来たくなるしかけだね」里子が感心した。
また、公式アプリの「いきもの図鑑」では館内の生き物の解説も読めるのだ。
そのかたわらで、落ち込むワラビー。「ワラビーは、スマホを持っていないし、スマホのそうさもできません・・・」
「あっ」
「かりゆし水ぞく館とワラビーは、なかよしになれないにちがいない・・・」
「そんなことないよワラビー。私のスマホで一緒に楽しもうよ。ほら行こう」
「ワラビーは、かりゆしと、なかよしに・・・」
「フレーズ気に入っちゃったよ!」
気を取り直して先に進む。

こわもての顔を水面に出すブラジルカイマン
淡水魚やヤドクガエル、カメレオン、ブラジルカイマン、フンボルトペンギンなどの水槽を見ながら進めば、少し開けた空間に出た。
ここは、沖縄県内の読谷村の海岸を再現したエリアになる。音と光の演出で、時間帯や天候によって変わる海の表情の変化を楽しめる。
「今は、しずかな海です・・・おさかなたちが光をあびて、キラキラしています!」
―そこに現れた人物がひとり。
「やあワラビー、いらっしゃい」
「だれ・・・?海がすきなラガーマン?」 人をポロシャツだけで分類する有袋類。
「違うよワラビー。DMMかりゆし水族館の館長、市川大介です」
「館長さんです!こんにちは、ワラビーだよ!」
「今日は水族館を楽しんでね」
DMMかりゆし水族館 館長 市川大介さん
そして市川館長自ら、ワラビーと里子のインタビューに応じてくれた。
「よろしくお願いいたします」「こちらこそ」
質問の口火を切ったのは里子。「コロナ禍の中でのオープンとなり、このほど1周年を迎えました。水族館にとってはどんな1年でしたか」
「多数の観光客に来て頂くことを期待していましたが、海外からの観光客がゼロになるなど、思うようにはいきませんでした」と市川館長。「ただ、そんな中で沖縄県民にものすごく来てもらえた。県民のみなさんに支えてもらった1年でした」と感謝する。
かりゆし水族館には現在、年間パスポートはない一方、リピーターは多く、中には10回訪れた県民もいたという。
里子が追って質問した。「県内にはすでに沖縄観光のマストともいえる『沖縄美ら海水族館』があります。どう共存、差別化を図っていくつもりですか」
市川館長は「美ら海水族館を運営している沖縄美ら島財団さんには当初から技術指導を受けています」と、協力関係にあると説明した。
昨年10月には両者で互いに誘客を促進するため連携することを発表。水族館巡りイベントや、コラボグッズの販売などを検討しているという。
「そんな中で、美ら海水族館で見られない生き物が見られたり、見せ方を変えることで差別化したいですね」と話した。
「ワラビーは、さいしょの映ぞうが、気もちよかったです!鳥になれました!」
「ありがとうワラビー。うちは沖縄では最後発の観光施設で、那覇空港に近いメリットもある。県内のほかの観光施設にも興味を持ってほしいので 『はいさいゲート』の映像の中ではやんばるの『大石林山』が映っていたりと、アピールもしています。焼けてしまった首里城も焼失前の姿が映像に残っているので、随時、再公開しようと思っています」
「楽しみです!市川かん長、ほかにも水族館のひみつをおしえて?」 食レポですぐに隠し味を聞くタレントか。
「実はうちはサンゴに力を入れています。読谷村でサンゴ養殖を手がける金城浩二さんに指導してもらい、約30種類の生きたサンゴを飼育しているんだ。1階の水槽で見てね」

かりゆし水族館の生きたサンゴたち
「サンゴにそれだけの種るいがあるんですね!」
「最後に、2年目の目標はありますか」里子が締めの質問を投げた。
「コロナがあり、収益的にも観光客が消えた影響を受けましたが、県民を一番に考えようと再確認し、県民に集中できたのは悪いことばかりじゃありませんでした。『もう1回来てもらえる水族館』を目指し、新しいものを提供していきたいですね」と力を込めた。
「がんばって!ワラビーも応えんします!」
かりゆし水族館の見どころはまだまだ多い。
手指を洗った上で、ヒトデやナマコなど海の生き物に触れるタッチプールも。
「ドチザメにもさわれます!」
人気者のコツメカワウソは、元気よく水中への飛び込みを繰り返していた。
ワラ「すばしこい感じに、あこがれます!」
里子「なんか川みたいなにおいがするね・・・」
ワラ「でも里子せんぱい、カワウソは『川うそ』じゃないの?」
里子「違うよ。漢字で書くと『獺』。カワウソは、取った魚を岸に並べる習性がお祭りをしているみたいだから『獺祭(だっさい)』という言葉も生まれたよ」
ワラ「ハッ!『川』はウソ・・・『川ウソ』です!」
里子「だまされた感じ出さないでよ」
さまざまな動物を見られる「ゆいゆいズー」エリアではカピバラやペリカン、ナマケモノなどの動物が間近で見られる。
「手がとどきそうなくらい近いよ!ルールルルルル、ルールルルルル」
「・・・・・・・・・・・・」 ナマケモノにガン無視される有袋類。
すると、水族館を運営する「DMM RESORTS」の小池匠さんが柵の中を示した。「ワラビーもここに入って『ゆいゆいズー』の仲間にならないかい?」
「えっ!?」
「『DMMの子』になりたくない?」 ワラビーを水族館にスカウトする小池さん。
「ワラビーはタイムスっ子のままでいます・・・」 なんかすごそうだな「DMMの子」。
さらに1階大水槽の上の床一面が全面ガラス張りになった、インスタ映(ば)え必至のエリアもある。
「水の上を歩いているみたいです!」興奮する有袋類。
水槽の上に横たわり、しばしうっとり。「竜ぐう城は、きっとこんなかんじにちがいない・・・ホウ」
なお、女性のヒールでガラスが割れる可能性もあるため、ここは靴を脱いで入る必要がある。
1階も展示が盛りだくさん。さまざまな生き物が展示されているエリア。壁沿いには市川館長自慢の生きたサンゴがずらり並ぶ。
人気者のチンアナゴも。
さらに、こちらは巨大な円柱状の水槽をゆったりと泳ぐクラゲが見られる「クラゲよんなー」エリア。色とりどりの照明に照らされ、幻想的な世界が広がっている。
「深い海の中みたいです」
「時間を忘れちゃうね」 うっとりするワラビーと里子。
巨大なバーチャル水槽「バーチャルあしびなー」では精密なCGや高度な物理シミュレーションを使った迫力のある映像が流れる。水槽にも使われるアクリルパネルに映像を投影することで臨場感を出している。
バショウカジキの捕食シーンや、深海にうごめくダイオウイカなど、思わず息をのむような仕上がりだ。

迫りくるダイオウイカ
がっつり水族館をたんのうしたワラビーと里子。
「見ごたえがあったねーワラビー」
「たのしかったけど、ワラビーは『いきものあつめ』ができませんでした!かりゆしと、なかよしになりたかった・・・」
「まだ言ってるの」

オリジナルグッズやお菓子が並ぶショップエリア
歩き疲れたのでショップエリアでひと休みすることにした1匹と1人。
「ほら、こんなに集まったよ」ワラビーにスマホを示す里子。アプリの画面内にはコツメカワウソやカクレクマノミなど、ゲットした生き物がゆうゆうと泳いでいる。
「里子せんぱいのいきもの自まんにしか思えません!」
「まあまあワラビー・・・」里子がなぐさめた。「そうだ、さっき虫取り網にはっていた『おなまえシール』貸してよ」
「・・・これですか?ハイ」 シートを里子に渡した有袋類。
「ありがとう。このシールのワラビーを・・・こうして、私のスマホにはるね」
すると里子のスマホの画面では、かりゆし水族館の生き物と、楽しそうなワラビーの姿が共存した。
「あっ、ワラビーが、かりゆし水族館の仲間になりました!」 声を弾ませる有袋類。
「良かったねワラビー」
「ハイ!里子せんぱい、ありがとう!かりゆしの仲間、ワラビーです!」
「『かりゆしとなかよし』はどうしたのよ」
「それです!」
「適当なんだからもう・・・」すっかりご機嫌になったワラビーに、苦笑いする里子。
映像と音と展示を組み合わせた新しい水族館の形を示す「DMMかりゆし水族館」の「進化」を楽しみに思うワラビーと、ワラビーブログスタッフだった―。
~ワラビーからお知らせ~
今回のワラビーの水族館訪問のようすは8月15日付の沖縄タイムスのこども新聞「ワラビー」紙面でも紹介しています!新聞ならではの大きな写真で水族館の魅力を探してみてね!
また、DMMかりゆし水族館は新型コロナウイルス感染症の影響で営業日や時間に変更がある可能性があります。詳しくは水族館ホームページでチェックしておでかけしてください!

スタッフおすすめの「映えスポット」で写真に収まるワラビー
市川館長をはじめ水族館スタッフのみなさん、ワラビーによる訪問をこころよく受け入れてくれて、ありがとうございました!